9月7日(水)
一ヶ月間のグアテマラ生活を決めたものの、正味ひま。
僕らが住むサンペドロの、目の前に広がるアティトラン湖の周りには、数個の民族村があるから、一日一個回れば一週間ほど観光出来るっちゃあ出来るが、あんまり興味もないし。
だから、今日はバカルディを探し求める旅にでた。
ってのも、昨日買ったXLがリッターで90、750mlで75ケツァルなのに対し、バカルディ(しかも、確かダークかORO)が700or750mlの瓶で60ケツァルぐらいやったのを、ウエウエテナンゴのスーパーで一度目にしたからや。
ちなみにバカルディとはキューバのラムである。
ボトムにコウモリのロゴがついてる奴ね。
ひたすらに町をあるいて回る。
しかし、一向にバカルディは見つからない。
あるのはXL同様、”BOTRON ORO”なるグアテマララム。
5年物で75ケツァルらしいが、XLの味を知った後では怪しいもんや。
着色の匂いがプンプンする。
グアテマラウィスキーもなんか怪しいし、仕方がないのでガンジャストリートを歩く。
ガンジャストリートは湖沿いにある一本道。
レストランやBAR、カフェがあり、その陰を売人共がうろつくヒッピーハッピーZONEや。
何となく物が高いイメージがあるので、うろついても無意味な気がするが、探してみんと分からへん。
片っ端から酒の置いてる店を冷やかす。
しかし、やはりバカルディは置いておらず、ロン・ムラタ(キューバの安ラム)や、ハバナクラブ3年(これまたキューバのラム)が置いてあるだけ。
一瞬、ハバナクラブ3年にしよかなあと思ったが、90ケツァルするのでやめた。
日本とそんなに変わらない。
そして、ロンサカパ23年は350ケツァルと、やはり高い。
(もうバカルディは置いてないんかなぁ?
60ケツァルでええラム呑むんは厳しいかなぁ?)
と、あきらめそうになりながらも、挫けずにもう一軒冷やかしに行った。
が、やはりバカルディはない。
珍しくジョニ黒は置いてあるが、バカルディはない。
ジョニ黒かぁ。
呑みたいなぁ。
なんかソーダで割って呑みたい気分。
でも、メキシコで200ペソ(約1400円)ぐらいしたしなぁ。
こっちでも150か160はするやろしなぁ。
まあ、聞くだけ聞いてみるか?
どうせ暇やし。
「ジョニ黒いくら?」
「70」
「えっ! ホンマ? ホンマに70(約700円)?」
しつこく聞く。
すると、店番の少年。
電卓を叩いて見せる。
確かに!
液晶に映し出された文字は”70”
まぎれもなく70や。
この店に置いてあるXLも75やし。
間違いではない。
この店が特別安いワケでもない!
まさか!
ジョニ黒が700円程度で買えるなんて!
ええっ!
確か日本で2000円ぐらいやったはず!
三分の一やん!
もちろん速座に購入。
売れ残りか、税金の関係かは知らんが、とにかく安いのは確かや。
いえい!
ソーダはなかなか見つからなかったので、間違ってかったTe Verdeなる甘い飲料水をチェイサーに、ストレートで味わう。
うまい!
久しぶりのウィスキー。
日本じゃブレンデッドはあまり呑まないが、なんやゆーてもブランド物。
うまいわぁ~。
甘い香り。
ほどよいキツさが心地よい。
これをソーダで割れば、辛さがやわらかくなって、より甘みが増すんやろなぁ。
軽くライムのピールでもかけて。
なんて想像したら、やっぱソーダが欲しくなる。
なので、次はソーダ探しに向かった。
これは案外簡単で、あっさり見つかった。
SALUTARISーサルタリスーという名のソーダ。
猿とリスでも、クリとリスでもない、サルタリスという名のソーダや。
355mlで4ケツァル。
若干高いが、まあしゃあない。
次の機会にデカイボトルでも探そうではないか。
そうこうしてると、歩き疲れ? か、空腹疲れか、なんか体が重いし、ベンチに腰掛け休憩。
「何しよか?」
「いいかげん歯医者行かん?」
ってことで、歯医者に向かう。
ここはレチュギージャスではないので保険はきかない。
だから、保険いらずの歯医者さんへ向かう。
「どない? すぐ治る?」
「いやいや、これは時間かかるよ。
歯茎に膿たまってるし、レントゲン見たら神経の周りにバクテリア大量発生してるし」
薬物治療と清掃で、3週間程度は見て欲しい。
ほっとくと別の歯もいわすよ」
まぢで!?
帰ってから調べてみた。
多分病名は”歯肉膿瘍(しにくのうよう)”。
歯茎に何らかの傷口が出来て、そっから細菌が侵入した際におこる病気らしい。
ひどい場合は頬が腫れ、悪化すると歯周膿瘍になるらしい。
僕の場合は、前々から弱っていた右の歯一部分だけなので、歯肉膿瘍なんやろう。
確実にヌリアんとこでなった病気や。
歯ブラシで磨きすぎて、この歯茎を傷つけたのも覚えてるし、あの汚い水たまりの水でうがいさせられていたことも覚えてる。
歯茎を傷つけるのはよくやっちまうが、細菌侵入は初めて。
そらまあ、魚やアメンボ、カエルにボウフラまでもが生息する水たまりの水や、細菌が発生するのも仕方がない。
ヌリアが毎日歯が痛いと言うてるんもそのせいやろう。
頼むから水買いなはれ。
治療後も歯医者にて、ときどき検診が必要らしい。
まあ、検診に関してはレチュギージャスでも可能やろう。
ただ、見るか抜くかの二択しかないレチュギージャスでは、今回のような見解は出来なかったはず。
レンタクアルトしてまで、ここにとどまってよかった。
ゆーても観光地の歯科医。
腕に自信はあるやろう。
治療費の合計は1500ケツァルと少々かかるが、まあ仕方がない。
2000ケツァルかかると多めに見たら、だいたいニ万かかることになる。
海外保険にゃ入ってないからオール自腹やが、実は近年では、日本の国民健康保険が海外でも適用される。
それを事前に調べていたので、書類持参で旅に出た。
これなら帰国してから7割返ってくるので、結局6千円ぐらい。
日本の歯医者と変わらん。
書類とレシートさえあれば、日本に郵送して、家族が代理で申請することも出来るみたいや。
ただ返金価格は、海外で支払った金額の支払い時のレートで7割。
か、
日本で同じ治療を行ったとした場合の妥当価格の7割。
の、安い方らしい。
ケチ臭く思えるが、きっと不正行為を防ぐためなんやろう。
まあまあ、これで金の心配はヨシとして、1番の問題は酒や!
これが1番問題なんや!
恐る恐る医師に聞く。
「今日酒呑んだらダメやんね?」
「うん。
てか、治るまであかんよ」
ち~ん!(メキシコ流のがび~ん)
出たぁ!
まさかの一ヶ月禁酒令!!
せっかくジョニ黒安く買ったのに!
ソーダ発見できたのに!
最悪や…。
最悪って言葉は、きっと今日のこの事を言うんやろう。
この歴史に残るであろう、2011年・9月。
新世紀禁酒法時代を、あなたはあざ笑いますか?
それとも涙流して痛みを共にしてくれますか?