2月6日(月)
結局あまり寝れないまま、早朝4時にホテルを出発した。
空港に着き荷物を預けた後、空港内のコンビニで別れ酒用のビールを購入。
審査済ませてからメキシコに気持ちよくお別れを告げ、のんびり乾杯!
…しようとしたが、液体類の持ち込みは禁止なので、審査前にいそいそと乾杯するハメに。
そういや前にも一度こんなことがあった。
あれは確か5年ほど前。
アミーゴ・ヤスハルと共に、初めてのベトナム旅行に出かけた時のことだった。
出発が元旦の朝だったので、数の子を持参。
JR大阪駅から数の子を頬張り、ビール片手に関空へと到着。
が、入国時。
僕らの持っているブラックニッカが気に入らないと、審査官が駄々をこねた。
駄々こねられたらしょうがない。
ので、審査場前で宴会することとなった。
ようするに、審査時のお酒類の持ち込みは固く禁止されているわけだ。
これはなかなか覚えにくいことだが、覚えておいた方がよさそうだ。
ビールを呑み干し、審査を済ませ、ロサンゼルスまで5時間かけてやって来た。
乗り継ぎまでの時間はたった2時間。
なのに、ここで再び荷物を受け取り、再度預けなければならない。
なぜならここはアメリカだから。
この国では、ただ通過するだけの旅行者に対しても、厳しい審査が待っている。
ESTA申請だけでもたいがいめんどくさいのに、荷物受け取り、厳重なチェックまでやらなあかんとは、なかなかややこしい国や。
案の定時間はギリギリ。
付け加え、タイ出国のチケットも買ってなかった為に、大急ぎで払い戻し可能のチケットを購入。
おかげでゲートに着いたのは時間5分ほど前だった。
息つく暇もなく乗り込んで、ロスから香港まで寝れないまま、ただ酒だけをひたすら浴び、15時間後、香港到着。
引き継ぎ、香港から3時間かけてタイに到着した。
搭乗時間、計23時間。
長かった。
とにかく長すぎた。
疲れたぁ~。
休みたい。
が、落ち落ち休んでなどいられない。
時はすでに22時。
30分後にはある人物と出会うことになっている。
なので、急いで荷物を受け取り入国審査をさっと済ませたいところだったが、審査カードにホテル名を記入していなかったので止められる。
「あっ! わすれてた」
しかし、ガイドブックなど一切ないのでホテル名が分からない。
悩んでいると審査官のおばちゃんが、
「フレンドホテルって書きな」
と、助け船。
フレンドホテル?
なんじゃそりゃ?
タイ人のネーミングセンスの無さに驚きながら記入して再度差し出す。
するとおばちゃん、
「フレンドホテル?
なんじゃそりゃ?
そんなホテルないがな!」
と、笑いながら言う。
いやいやあんたがゆーたんやがな!
と、ツッコミたいとこやが、そんな高等なタイ語も分からず笑ってごまかすと笑顔で、
「オッケー!」
と、通してくれた。
あとあとハニーに聞いたら、フレンドホテルやなくてグランドホテルやったそうや。
うっかり、僕の聞き間違い。
ヒアリングには自信あるつもりやってんけど、なかなか難しいわ。
英語っちゅーんわ。
そんなこんなで待ち合わせの22時30分を少し過ぎたが、急いで空港の一階へと進む。
待ち合わせが、
”空港の一階”
と言うから、ちんまい空港なんかなとおもたら、なかなか大きいやないかいスワンナプーム空港。
こら会うのに時間かかるんちゃうかぁ?
とウロウロしてたら、遠くから手を降る1人の東洋人サラリーマンの姿が!
ん?
(あんな立派な社会人が、僕らに一体何用?)
と、よく見るとその人物は、なんとまあ懐かしい、知った顔形をしているではないか!
「あれ? ヤスハル?」
わあっ!
そう、僕らが日本を通り越しタイまでやって来たのは、”タイに行きタイ”のキャッチコピーにひかれたわけではなく、何を隠そう彼に会う為。
そして、彼と酒を呑む為。
彼に会うのは一年以上ぶり。
もちろん感動の再会。
第一声はきっと、
「いぇ~い!」
だろうなと思っていたが、彼の口から出てきた一言は、
「やっぱりな。やっぱ二階におるおもたわ」
だった。
ん?
二階におるおもたわ?
ニカイニオルオモタワ?
何それタイ語?
いやいや違う。
どうやら僕らは間違えて、待ち合わせしてる一階ではなく、二階で待ってたようや。
そういえば、一階ぽい雰囲気やし一階やと思いこんでただけで、ちゃんと調べたわけやない。
自分の動物的カンを信用していたが、どうやらあんまりアテにはならんようや。
しかし、逆にヤスハルの動物的カンは冴え渡っていた。
「どうせハルのことやから、間違って二階におるおもたわ」
「タイ来たはいいけど、泊まるとこ決めてないどころか、ガイドブックも何も持って来てないんやろ?」
…全て当たっている。
そんな僕の行動の全てを見越し、ヤスは二階に迎えに来てくれたどころか、空港からタクシーで宿まで案内してくれるという。
しかも、タイ語どころか英語も分からない僕らの為に、日本人専用の宿を探し出し予約してくれていたのだ。
ここなら日本語も通じるし、きっと情報交換も出来るだろうと。
ああ、やさしい。
なんてやさしいんやろう。
ああ、僕は彼に愛されてるんだ。
やさしく見守られてるんだ。
もし僕が女性だったならば、キスの1つもしたいとこなのだが、残念ながら男やしそういう趣味もないので、その気持ちは胸に秘めたまま、右も左も分からないままに、「民宿日出」へ到着した。
民宿日出は日本人専門の宿らしいが、スタッフは日本人ではなかった。
日本語は話すが日本人ではなかった。
そういや、メキシコのサンフェルナンド館という宿も、日本人専門の宿だったが、経営者はバリバリのメヒカーナ。
これまた、日本語は話すが日本人ではなかった。
う~ん。
どないやっちゅーねん 笑
とりあえず荷物を置き、宿近くの飯屋で再会の乾杯!
まさかタイでヤスハルと呑むことになるとは、思ってもみんかった。
とにかく楽しい。
楽しい酒が1番や!
店先にゴキブリがうじゃうじゃいたが気にしない。
メヒコから日本通り越してここまで来たかいがあった。
めちゃうまいタイの食べ物と、ビールの氷割をやっつけながら、たわいもない話で盛り上がる。
こうして、ハッピーミッドナイトドリンクは、あっとゆーまに過ぎてった。