2011年9月4日日曜日

馬×鶏×俺カケ小便

8月23日(火)
ガビィがこんせいで、2日前から仕事が増えた。
夜8時~9時の間にニワトリを道具倉庫に閉じ込める仕事や。

というのも、先週掃除した家は元々ニワトリたちの住処やった。

それが、掃除の際に追い出した為、行き場を無くした二匹のチキンは毎朝6時になると嫌がらせのように、僕らの部屋やヌリアの部屋の前で、
「コケコッコ~」
と数十回も雄叫びをあげるように。

これはかなりキツイ!
腹立つほどにうるさい。

それにしびれを切らしたヌリアが、2日前から鶏を小屋に閉じ込めることにしたのだ。

そして、昨夜からそれは僕ら2人の仕事になった。

なんせニワトリたちが夜7時頃になると、僕らの部屋の前に置いてあるベンチに座るもんやから、2人がやらなしゃあない。

ヌリア1人で二匹抱えるのも大変やし。

まあ、夜暗くなったらニワトリは鈍くなるから、捕まえるのは容易いし、2分で終わる仕事やから楽っちゃ楽やが、夜のティータイム後の作業やから、なんかしらめんどくさい。

もっと早く寝てくれんかなぁ。
つか、ガビィ早来いや!
鶏小屋作れよ!

昨夜来た三人と共に朝食を食う。

ナジェリはヨガしながら瞑想に耽り、日本人カップルのまことさん&けいこさんは市内観光。
僕らは相変わらず仕事だ。


午後になり、クリスチャンが3日前に初娘が出来た事を伝えに、友達を4人と女の子1人連れてやってきた。

アレイナが異常に腹減ってたんは、生まれる直前やったからみたいや。

4kgの健康児らしい。

にしても、クリスチャンの友達ってば、なかなかキャラの濃いメンツばかりや。

1人はプロレスラーになりそこね、魂がどっかに行ってしまったジョン・レノン。

1人はオウム真理教みたいな白い服着た、お笑いコンビ(名前忘れた)の片割れ、又吉の歯が抜けたヨーロピアンバージョン。

1人は科学者になったアルシンド。

マトモなんは又吉の奥さんと子供だけ。

しかし、大麻好きなんが一瞬で分かるような顔ぶれ。

そんな、いつでもどこでも大麻をキメてそうなタイマーズたちに、肥料の作り方を再び教わった。

まず、枯枝を地面に横1m、奥行き1m感覚に敷く(下から空気を入れるため)。

その後、枯葉や枯れ草を敷く(嗅いでスパイシーな香りのする物や、いい匂いのする物は駄目。油分が強すぎて肥料には向かないらしい)ー5㎝。

その上に緑の葉や草ー5㎝。

次に土ー1㎝。

それを繰り返しながら、時に生ゴミや人糞。
鶏のクソや馬のクソ(きのこが生えてれば尚良し)を混入し、1mの高さまで積み重ねた後に水を少しかけてフタをする。

で、下準備オッケー。

2日置き、ナタを突き刺し、中が熱くなっていれば良好!

そのままナタで数カ所えぐり、穴を開けて空気を入れる。

そして、毎日大量の水や小便をかけてれば、一ヶ月半後に完成するそうや。


小便は3日寝かせるといいらしい。
ただ、それでも臭いがキツイ場合は水割りにする。

人糞はオガクズと混ぜ、半年寝かせるといいらしいが、小便を混ぜてはいけない。

馬糞は乾燥させるといいらしいが、道に落ちてるやつがすでにいい感じやから、そのままでもええんちゃうかなぁ。

ただ、きのこが生えてるやつを混ぜてフタしとけば、きのこが数倍に増える。
より良い肥料になるらしい。

まあ、まだ完成してないのでなんとも言えんが、10月が楽しみや。

ホンマは出来た肥料をミミズに食わせりゃ、もっといい肥料になるんやが、この土地にミミズはいないので仕方ない。


オアハカでは、ミミズの肥料ーロンブリコンポスターが、1kg=300ペソ(約2200円)で売れるらしいから、土地とミミズ。根気と元気があれば、かなりの金持ちになれる。

まあ、そもそも土地持ってる時点で金持ちか。

にしても、1kg=2200円はボリすぎな気がする。

この町の蚊取り線香も、48ペソ(ホンマは12ペソ程度)でボリ過ぎやし、オアハカはなかなか気の抜けん町や。


しかし、農業は面白い。

糞から作った肥料を野菜や果物に食わせ、それを人が口にする。

そして、肛門から出てきた汚物や、小便・生ゴミをまたまた使い方、作物を育てて口にする。

何一つ無駄のないサイクル。
ナチュラルなリサイクルって素晴らしいね。

馬×鶏×俺の小便カケることで、栄養タップリな野菜や果物が出来上がるんやから、有機農業するのも悪くない。

ミミズは嫌いやったが、現在は軒下で一匹飼っている。

まだまだか弱い、ピンク色した赤ちゃんベイベー。

いつか大量に増えてくれたならば、より良い肥料を作るための手助けをしてもらおう。

俺はそのお礼にと、彼らに俺の糞尿を食わす。

健全健康かつ、無駄のないスカトロプレイ。

有機農業=SMプレイ
って考えたなら、さまざまな辛さに耐えることも、これまた快感の1つ。

う~ん。
メルシー!

買ってきたトイレットペーパー

8月18日(木)
昨日結局、トイレットペーパーを買ってきたのやが、
「買わなくてよかったのに。
なぜならこの町で買うと高いから。
また別の日に買いに行くつもりだったのよ」
と、Nuriaに言われた。

そうやったんや!
しくった!

まあ、ええ。
あって困るもんでもないやろ。

今日は朝から今住んでる部屋の掃除と、便所の掃除をした。

「地面が濡れてるから今日は掃除にしよう」
と彼女は言ったが、きっとホンマの理由は友達が来るからやったみたい。

なんせ12時になり、3人の友達が来た時に、部屋や農場の紹介をしてたから。

今日やって来たのは、イタリア人のクリスチャンと、その奥さんアレイナ(ドイツ人)。
そして、2人に土地を貸している農場主・スイス人のフランシア(女性)。

どうやら8年ぶりの再開らしい。

オアハカの町で偶然出会った時に聞いた住所をあてに、訪れたのだとか。

みんなでメスカルで乾杯した後、トークタイムが始まった。


クリスチャンは、肥料作りの話をさせると止まることを知らない熱い男。
有機肥料の作り方を延々と語る。

アレイナやフランシアからしたらなかなか鬱陶しい奴なのかもしれないが、僕はこういう奴大好きや。

好きなことを熱く語れるってのは、かなり素晴らしいことやと思うから。

ただ、ムーミン谷からひょっこり顔を出す大量のニョロニョロは(鼻毛ね)、ちゃんと処理するべきや。
まだ20代半ばなんやから。


嫁のアレイナは、とにかく腹が減ってるから、話はどうでもいいって感じ。
僕らが作った雑炊、かなりがっついてた。

お腹に赤ちゃんおるから、そら腹も減るやろうが。


そして、フランシアはカッコいいおばちゃん(確か58歳)
白髪の短髪がめちゃくちゃ似合ってる。
スイス人やのに保険には入ってない。

だから、周りのスイス人から、
「頭おかしいんちゃう?
保険にも入ってないなんて!」
と、よく言われるそうや。

しかし、こんなにも多国籍が集まれば、結構勉強になるもんや。

知らなかったことをたくさん知れるいい機会。

この席で非常にいい話を聞いた。

それは、ドイツともしもし(電話越しの)の関係についてや。

イタリア語の乾杯が”チンチン”って言うのは、なかなかよく聞く有名な話。
結構みんな知ってると思う。

この日もその話が出た。

クリスチャンが、
「日本人女性にチンチンって言ったら、彼女が赤面しながら日本語でのチンチンの意味を教えてくれたよ」

「男のコのまだ成長しきってないマラのことだろ」
と。

確かにそうや。

しかし、チンチン=マラやと簡単に説明すりゃあいいもんを、わざわざ”成長しきってないマラ”とまで説明するとは、この日本人女性もかなりの好き者らしい。

そんな話をしているとアレイナが、
「私も赤面したことあるわ」
と切り出した。

「日本人の友達が電話で、”もしもし(むしむし)”って言ってきたとき驚いたわ」
と。

「むし(Muschi)はドイツ語でマンコ。
電話かけてきて、第一声がマンコマンコって!
さずかにビビったわ」

…そら確かにビビるわ。

僕でもビビるわ。

それにしても、またまた歯が痛い。
いいかげん虫歯ちゃうか??

8月19日(金)
鶏小屋作りに使用する木材に、軽油を塗った。
雨とかから木を守るためらしい。

その後、Isaac(イサック)ともう1人じいちゃんが芝刈りをしに来た。

仕事がひと段落し、みんなで朝食を食べる。
すると、じいちゃんとNuriaが宗教戦争をおっぱじめた。

彼女は無宗教。
じいちゃんはキリスト教。

なんで宗教持たへんねんってな話になったそうで、ゆうきちゃんはテーブルがひっくり返ることを期待しながら見ていたそうやが、僕はこの地方の名物”トラユーダ”とかなんとかいう、でっかいパリパリトルティーヤを食べるのに夢中で、全く話を聞いてなかった。


まあ、宗教持つも持たんも人の自由。
否定も肯定もせず、
「ふ~ん」
って聞いとくんが1番や。

ただ僕はイスラム教だけは勘弁や。
なんせ豚玉が食えんくなる。

それだけはかなわん話や。

ってか、イスラム教の人らも、豚玉食ったら考えが変わるんではないだろうか?

そういえばヌリアは、
「豚だけは汚いから食わない」
と言ってた。

イスラムの影響??

でも、そういえば今日、イサックたちが持ってきたハム食べてました…よね?

ハムって、豚肉ちゃいましたっけ??

あっ。
僕の勘違いかな?


まっ。いっか。

結局テーブルがひっくり返ることはなかったんやし。



昼頃に、刈った芝を荒地にまいてたら、ガビィっていう名のメキシコ人がやって来た。

鶏小屋作りの手伝いにやってきたそうやが、庭をしばらく眺めた後、
「今日はやっぱ仕事したくないから帰るわ。
また明日ね」
と、僕ら2人にガムを渡して帰っていった。

なんかスナフキンみたいな不思議な奴やった。
帽子はノッポさんみたいやったし。



8月20日(土)
この土地に唯一ある荒れきった畑。

その畑を本日授かることになった。

「あんたらの為の食料を育てりゃいいじゃん」
って。

だから、まずは雑草を抜いた。

かなり生えまくってるから一週間はかかると思う。

抜いた草と、ロベルトの聖地にある湿気った土&枯葉&小枝。
そして、馬糞。

これに水と小便ぶっかけて置いてりゃ、肥やしになるやろう。

そして、ガビィは来なかった。



8月21日(日)
シーツを洗った。
漂白剤と洗剤を合体させるという荒技を使い洗った。

どうやらメキシコには、”混ぜるな危険"という文字はないみたいや。

そして、今日もガビィは来なかった。



8月22日(月)
メキシコに来て、何度かインターネットを利用しているが、使用料の相場は1時間=10ペソ(約70円)が相場のようや。

だが、ヌリア情報ではラチゴロの図書館まで行けば、1時間=5ペソでネットが出来るという。
半額や!
しかも、1台しかないグエンヅラインと違い6台もあるというではないか。

僕らは仕事終わりで図書館へと向かった。
歩いて10分弱。

実家からJR塚本まで歩くよりも全然近い。

図書館に着くと、若い姉ちゃんが1人いた。

「パソコン使える?」

「うん。でも、ネットはないよ」

「えっ?」

何やそれ??

結局、近くのインターネット屋さんを紹介された。
1時間=10ペソ。

グエンヅラインと一緒やし。
閉まってるし。

グエンヅラインに戻ってきたら、ガキ共が一台のパソコンに群がって使えんし。

しゃあないので家に戻ってくると、夕方にメキシコ人のナジェリがやって来た。

その後、遅がけに日本人のまことさんとけいこさんがやって来た。

計3人。

今日来るなんてことは一切聞いてなかったらしい。

だから、ナジェリは床が土の家に、日本人カップルは庭にテントを張って宿泊することになった。

まあ、みんな急に来たわけやから、ヌリアがゴザを買う暇も、僕らが部屋を移る時間もなく、たまたま日本人カップルさんがテントを持っていたこともあり、今の快適な部屋は運良く確保出来た。

ラッキーや。

きっとトイレットペーパー買ってきたから、運がまわってきたんやろう。

しっかし、ガビィはいつまでたってもこんなぁ。



消えたトイレットペーパー

8月13日(土)
馬の糞を拾い集めた。
馬の糞を拾い集めるのは、ドラクエ以外では初めてや。

もちろん売るわけでなく、食べるわけでもなく、肥やしに使う為に集めた。
しかし、集めてきたはいいが、土とも、枯れ草や枯れ木とも混ぜへん、水もかけへん、放ったらかしで、ホンマに肥やしになるんかいな??



8月14日(日)
ここに来て初めての日曜日。
今日は仕事なんかどうなんか微妙やなあと思いながらも、一応仕事着で外に出てみた。

するとNuriaが、
「今日は休む? 働く?」
と聞いてきたので、
「休む」
と答えた。

やったぁ!

飲み水が無くなったので、井戸水を汲み上げる手伝いをした後、トルティーヤを買いに行った。

家を出てすぐに、ゆうきのチャリがパンクしてることに気づいたので、ゆうきを帰らせ1人で買いに行った。

初めてのおつかい。
Letras de negroって店までトルティーヤを1kg買いに行く。

だが、ただ単に1kg買うだけではない。
というのも、この町ではトルティーヤ1kg=10.5ペソ。

しかし、彼女から預かったのは10ペソ。
これでは50センターボ足りない。

じゃあ、一体どうすんねん?
つったら、
「1kg=10.5。
でも、私はいつも10しか払わない。
だからハル。一枚二枚減らされてもいいから、これで1kg買ってきてちょうだい」

なかなか難しいことをいうお人や。
スペイン語わからんって、何回ゆーたらわかるねんやろ。

まあ、でもやらなしゃあない。


チャリをこぐ事3分。
Letras de negro なる看板はどこにもなかったが、地元民に聞き、無事に目的のトルティーヤ屋さんに着いた。

「トルティーヤおくれ!」

「何キロ分?」

「1kg!…でも、10しかないねん」

「いいよ」

ちょっちビビッてたが、思ったより簡単に買えた。

ルンルン気分で家に向かってると、向かい側からゆうきちゃんが、チャリを引いてやってきた。

どうやらパンクではなく、空気がないだけやったみたい。

でも、空気入れ貸してと彼女に言ったら、
「お前がパンクさせたんかぁー!!」
と、凄いけんまくで怒鳴られたそうや。

パンクやないてわかったら、落ちついたみたいやが。

こないだはこないだで、ドアが開けっ放しってので、めちゃくちゃ怒られた。

鶏が入ったら部屋が荒らされると。

どうやら物が壊れるうんぬんに関して、彼女は非常に敏感なようや。

あと整理整頓に関しても。


下手したら食べ物の中に、馬糞でも入れられるかなぁと思てたが、なんとか平穏無事に朝食を済ます事が出来た。

機嫌悪いかなぁともおもたが、今日はここに来て一週間祝いってことで、朝からメスカルを呑ませてくれた。

ラッキー!

その後、近所の商店でビールを呑んでたら、地元民からメスカルをご馳走になった。

昼から呑んでる輩やから、たち悪いかなと思ったら、意外と紳士。
乾杯を交わしたあとは、まったくからんでこなかった。

かっこいー!!

時間はだらだらと流れ17時になり、Nuriaと共にとある場所へと向かうことに。

僕らが住んでる町から歩いて5分の隣町・LACHIGOLOーラチゴロー。

この町の外れに、60年前にNuriaの兄ちゃん・Robertoが植えた木がたくさん育った場所がある。

荒れ地の草をかき分け、今では使われていない線路を横切る。

彼女は言う。
「ヨーロッパにしても日本にしても鉄道が盛ん。
それは素晴らしいことだ。
それなのに何故、メキシコ人は線路を無くしたのか?
ロコ(狂ってんの)か?」

ホンマにこっちの人らってば口が悪い。
すぐにロコとかトント(阿呆)とかいう。
まあ、日本も変わらんか…。

線路を横切った先には、数百本の木がそびえたっていた。

60年前というと、1950年代。
まだまだエコなどとは無縁だった時代に、ロベルトはエコに生きるべきやと思い、この地にたくさんの木を植えたそうや。

めちゃくちゃキレイに木が生い茂ったこの地を、彼女は聖地と呼んでいる。

ここには兄ちゃんが生きていると。
だから兄ちゃんと話す間、2人はその辺でチュッチュッしといてと、放ったらかしにされた。


ここに2人で住んでいたのは二年間だけ。
電気も何もない中で、2人っきりで生活してたんやそうや。

きっとその時のことを思い出しながら、ロベルトと話してたんやろう。

その間、僕らは蚊と戦いながら、墓の周りをうろついていた。

ロベルトの墓ではない。
現在この土地の所有者であるイタリア人の、亡き奥さんの墓である。


彼女とロベルトの会話が終わり、インターネットの店を探しながらGUENDULAINーグエンヅラインーへと向かう。

しかし、日曜日ってこともあり、インターネットの店は全て閉まっていた。

ここから先、店はない。
このまままっすぐ帰るだけやなと思っていたら、途中でNuriaのバイクが止まった。

そして、1人の男性を紹介された。
名前はPato(パト)。

98歳になる母親・Maríaと共に暮らしている。

Nuriaを、
「Como Sócrates(コモ ソクラテス)ーソクラテスみたいやー」
と崇める彼に、ビールとこれまたメスカルをご馳走してもらった。

ほんまオアハカ人はメスカルが好きやなあ~。
そして強い!

8月12日もそやったが、今日にしても、メスカルをストレートでガバガバ呑んでいる。

メスカルといえば、まあ簡単にいえばテキーラみたいな物やおもてくれたらいい。
味は全然ちゃうけど、ハードリカーってことに変わりはない。

ウィスキーにしても、ジンにしてもハードリカーやろ。

味はちゃうけど、きっつい酒なんやから、そらまあちびちび呑むわけですわ。

それがオアハケーニョたちときたら、ストレートグラスに入れて二~三口でグイッと呑み干しちゃう。
ご丁寧にも片手には、チェイサー用の麦酒まで用意して。

昼夜お構いなしに呑む。
せやけどあんまり酔ってへん。
うん、強い!

ベラクルスではみんな、コーラかなんかで割ってたのに。

同じメキシコ内でもこうも違うもんなんやぁと、しみじみ思うわけですわ。

ホンマ地方によって、酒も食べ物もさまざまやわ。

ベラクルスっ子が、さとうきび焼酎”caña”なら、オアハカっ子は、アガべ(サボテン)焼酎”メスカル”。

チアパスにポッシュがあれば、他方にはプルケもある。

アメリカ近くではワインまで作ってるし、僕がいつか行きたいと思ってるチワワの方にも、オモロイ酒が潜んでそうや。

ペルー行ってピスコも呑んでみたいし、またベトナム行ってル・カンも呑みたい。

この世界には呑みたい酒がなんぼでもゴロゴロしとる。

しかし、その為にはやはりビザが必要かなぁ。
働きながら旅せんことにゃ、俺らの夢が終わっちまうぜ。



8月15日(月)
今日突然。
トイレットペーパーが新聞紙に変わっていた。

節約の為だろうか?

僕らが一週間そこそこで、2ロール使ってしまったことに対するお仕置きだろうか?

それとも、新しい紙を買うお金が切れたのか?

謎や。
もしかしたら買ってきた方がええんかな?

それとも、しばらくウンコ我慢した方がええんかな?



8月16日(火)
Nuriaからマッサージのお返しにと、お守りを2つもらった。

1つは、握りしめたコブシの形した、幸運を手中に治めるお守り。
そしてもう1つは、夢を叶えるターコイズ。

毎日必ず三食出してくれるから、そのお礼にと二回マッサージをしただけやのに、まさかお守りをくれるとは。

感謝感謝や。

ちなみにオアハカの町では、マッサージ・1時間250ペソ(約1800円)らしい。

僕ら2人で30分30ペソ(約200円)やのに。

いつかオアハカで荒稼ぎしたろか??


相変わらずトイレットペーパーは新聞紙のままやが、天気もいいので散歩した。
Lachigoloを超え、歩くこと1時間。
Tlacochahuayaートラコチャウアヤーという町の、有名っぽい教会に着いた。

が、時間も無かったし、教会内がアンティークな作りとも知らなかったので、スルーして帰って来てしまった。

またいずれ行こうと思う。

メルカド(市場)で飯も食えるらしいから、日曜日がいいやろう。

ビールやりながらが最高や!

そして、家にトイレットペーパーがあればもっと最高や!



8月17日(水)
今日はもう一個の家の掃除をした。
僕らがここに残るなら、住んでいいと言われている家。

Nuriaがカウチサーフィンで出会った日本人カップルと、中国人が1人、もうすぐやってくるらしい。

彼らが来たら、僕らはそこへ引越ししないといけないので、本日掃除することになった。

この家は部屋が2部屋あり、今住んでいる部屋より広い。
レンガ作りで暖かいし、離れにあるのでより自由。
だが、床が土。

改装途中に金が無くなった為に、床が土のままなのだ。

これでは掃除のしようがない。
掃くたび歩くたびにホコリは舞うし、ベッドの上以外では靴も脱げない。

それに、ここにあるシングルベッドで2人が寝るのはなかなかしんどい。
かなり小さいから。

床に一枚ゴザみたいなん敷いてるけど、すぐに土まみれなるし。

ここに僕ら2人と中国人1人の計3人が寝るってのは、なかなかキツイ話や。

それに、見ず知らずの中国人が2〜3日遊びに来てから帰った後、気がついたら部屋に置いてたトランクが、ジャンボ餃子に変わってたってのもよく聞く話。

名前もマギー・チェンって!

何やら怪しい匂いがプンプンや。
下手したらあの人の弟子やろ?

まあ、トランクの皮が餃子の皮に変わっただけなら、軽くなった分、持ち運びが便利やとしても、中身がニンニクと挽き肉になってしまったなら、
…白飯が食べたくなるがな。

でも、ここにはラー油がないから、なかなか食えん話や。
残念。

そんなこと考えてたら、チェンとの生活もなかなか面白そうな気がしてきた。

ならば日本人カップルだけ断ってチェンだけを呼び、僕らは今の部屋のままでいるのが最善策なんちゃう?

何故、後から来た日本人に、僕らの憩いの場を奪われなければならないのかが不思議やもん。

何も知らん日本人カップルが、
「わあっ。素敵な部屋やわぁ。
ベッドも広いし最高!」
なんつって、パンパンやらかし始めた日にゃあ、小便混じりの土団子でも口に詰め込んだろか!

まあ、居候やから文句は言えんが。

一日3時間働くだけで、三食宿付き。
水も電気も使い放題なんやから、文句は言えない。

でも、でもね。
日本人として生まれた僕にとって、床ってほんまに大事やねん。

裸足で歩きたいねん。
靴は家の中では脱ぎたいねん。
床にも座りたいし、寝転びたい。
ゴザの上を靴で歩かんといて欲しいねん。
せっかく掃除した床、平気で土足で上がりこむ人らの気持ち、まったく理解出来ひんねん。

だから、もう、カウチサーフィンで人呼ぶのはやめて欲しいなぁ~。

そうしてくれたら、無くなったトイレットペーパー。

いますぐに僕が買ってくるから。

それも4ロール入りね。

ヒッピーに捧ぐ

8月9日(火)
ファックの日に、ここでの初仕事が始まった。

とりあえず朝7時ぐらいに庭をうろついてたら、
「まだ寒いし、地面も濡れてるし、部屋の中にいときなさい。
仕事開始は8時か9時よ」
と、Nuriaさんに言われた。

確かに、昨夜降った雨のせいで地面は濡れてるし、とにかく寒い。
昼間の暑さがウソのように夜中も寒かった。

Lechuguillas出発前、一年五ヶ月間も伸ばした弁髪を遂に切り落とし、ほぼスキンに近い状態にまでカミソリで髪を剃った。


地球、愛、平和、自然、ガンジャ…
そうつぶやきながら、誰かさんのようにベランダから飛び降りてもよかったが、まだまだ僕の頭はイカれてないので無理や。

フライナ~ウ!
ノーセンキュー!

ファックミー! ファックミー!
はちきゅうはちきゅうアバンチュール!

しかし、つるつるの頭はスベスベしていてかなり気持ちいい。
ので、このままスキンを続けようかなぁと思ったが、激烈に寒いし、蚊にアホほど刺されるので、やっぱ伸ばそうと思う。

8時半ぐらいになり、まずは細かい板を道具倉庫にしまう。
袋2つ分なので5分程度で終わった。

その後、朝食。
お粥みたいなんとパン。
そして、コーヒー。

朝は毎日こんな感じやそうや。

朝食が済むと、ぬかるみの上に刈った雑草を敷く作業が始まった。

こうしないと歩きづらいし、雑草もアホほど生える為、上から雑草を敷いて道を作りがてら、新たな雑草の成長を妨げるみたいや。

その後、小さな川を作った。
雨水が木や土に流れていく為の川。
この土地は勾配があるので、基本的には外側から内側へと水が流れるが、よりよく流す為に作ることになったんやろう。

12時頃に仕事が終わる。
後はすべて自由な時間や。

15時か15時半の昼飯までは、シャワー浴びたり洗濯したり、部屋を掃除したり、好きなことをするための時間。

そして、昼飯後も好きなことをするための自由な時間。

20時前にカフェタイムをしたら、一日は終わる。

なんやかんやのんびりした時間が、ゆっくりと進んでる。

こんな感じでええんかなぁ?
と少し思うが、

「ここですることは仕事じゃないよ、遊びよ」

「急がずにゆっくりしよう」

と言ってくれるので、こんな感じでいいんやろう。

”Aquí,todo los días hay mañana”
( ここには毎日、明日がある)

今日出来なくても明日がある。

焦らなくていい。
少しずつ少しずつやっていけばいい。

作ること、食べること、考えること、休むこと。

そのすべてが生き物にとって必要なこと。

必要なことやからこそ、焦らずにゆっくりとやって行けばいい。

地球と一緒にゆっくりのんびり回っときゃええんや。

早く回るんはツイスト踊るときだけでいい。
キチガイみたいに、狂ったまま飛んできゃいい。


忙しく働かなければ、そないに腹も減らん。

少し動いて、少し食べて、たまに羽のばして。

急かせか働いて、稼いで、時間を無くして、心の余裕まで無くしてまう。
そんなようなことはしない。
それがここのスタイル。

なんせNuriaさんは、ここに暮らしてからは一切金を稼いでないらしい。

もう何十年も無収入で暮らしている。

1965年に兄ちゃんのRoberto(ロベルト)と30年間世界中をヒッチで回ったのちに、この土地に住み着いたらしい。

現在はお兄さんが亡くなっているので、1人で住んでいるが。

「ここは好きだから売らずに残そうと思ってる。
売ってしまうと、きっと家が建ち緑が無くなるから。
でも、私はそろそろ違う土地に住みたい。
だから、ここを管理してくれる人を探しているの。
管理人が見つかれば旅に出るつもりよ」
と、Nuriaさんは言う。

「もし2人がここに残ってくれるなら、自分たちの家にして住めばいいよ」
と。

今僕らは客間で寝泊まりしている。

ここには客間以外に、Nuriaの家、キッチン、便所、シャワールーム、修理途中のもう1つの家(ここがゆくゆくは僕らの家になる予定。残るならね)、そして、作りかけのキッチンとシャワールーム。

すべて離れにある。
これから二匹の鶏の為の鶏小屋も作る予定や。

そして、とにかく土地が広いので、作物を育てることも余裕で出来る。

今はNuriaさん1人やからなかなか手入れも大変やが、僕ら2人と、もう1組カップルが住めば、楽しくやって行けそうな気がする。

彼女自身はお金はいらないみたいやが、別に僕らが稼ぐことに関してはいいみたいやし。

なんせ手持ちの金も、貯金も少ししかないので、多少は稼がんとキツイ。

僕の考えでは、ここで育てた野菜を使って食の大半をまかない、余るようなら売るなり物々交換したりして、調味料や他の食材を手に入れりゃいいんちゃうかなと思う。

ビザがもらえりゃこそこそせずに、マッサージで少しずつ稼ぐのもいい。

言葉を覚えれば働きに出たり、営業かますことも出来る。

2人だけやと、1人が働きに出たらここを管理するのが1人になって大変やけど、4人おれば2人が狩りに出て、2人が家を守ればいい。

三人寄れば文殊の知恵なら、四人寄れば文殊の知恵以上のモンがわいてくるやろし。


う~ん、憧れの原始スタイル。
ウンバボー!

まだ来たばっかやから、どないなるかわからんが、僕らの約束の地がここであるならば、残りの人生、まだまだ現役ヒッピーのNuriaさんに捧ぐのもいいやろう。

Nuriaさんのカルマが旅をすることなら、Nuria&Robertoの思い出の地を守っていくことが僕らのカルマなんかもしれんし。

しかし、まあ、明日のことは明日にならにゃわからんけどね~。
なんせ、ここには毎日のように明日があるんやさかい。

”Aquí,todo los días hay mañana”
(アキー トード ロス ディアス アイ マニャーナ)

この言葉をヒッピーだけでなく、すべてのイカレポンチどもに捧げよう。

”ウィッピー! ワッパー!”
”ヒッピー!    ハッパー!”









お前のタクには死んでも乗らねぇ

タクシーと聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?

リュック・ベッソンとやらが監督してる映画『TAXI』か?
それとも、ロバート・デニーロ主演の映画『タクシードライバー』か?
もしくわ、あのイキすぎたサービスがウリのMKタクシーか?

僕の場合タクシーで思い出すことといえば、泥酔しすぎて『京都・磔磔』から大阪までタクで帰って来て、諭吉一匹払わされたことや、
泥酔しすぎて行き先伝えずにタクで眠りこけ、西淀警察まで連れて行かれたことや、
これまた泥酔しすぎてあまりにも起きないので、自宅前に救急車呼ばれたことなど…

とにかくタクシーと聞くと、泥酔と思い浮かべてしまう。

タクの運ちゃんホンマにごめんなさい。


しかし、ここオアハカでは、タクシーと聞くと何人かは、
「8月12日!」
と答えるだろう…。

8月12日(金)
昼1時すぎ、グエンヅラインに唯一あるインターネットの店に行くと、停電のためパソコンが使用不可能だった。

「すぐに電気くるよ~」
と、おばちゃんが言うので、とりあえず暇潰しに町を探索することにした。

すると、探索するまでもなく、近所の広場でタクシードライバーたちが、酒盛りをしているのを発見した。

まずは軽く挨拶をして通りすぎたが、大量に用意されたビールとツマミが目に入ったので引き返し、チャリを停めてベンチに腰掛けた。

近すぎてもやらしいし、遠すぎても難しいので、10メートル行くか行かんかぐらいの距離にあるベンチに腰掛けた。

昼間っから仕事もせず、教会どころかポリ署まで隣接しているこの広場で、このオッサンどもは一体何のための酒盛りをしているのだろうか?

罰あたりもええとこやし、ゴビエルノ(政府)クソくらえで盛り上がってる。

そして、僕らは何を期待しているのだろうか?

「おい! チーノ!」
と、言われるであろうことか?

それとも、
「おい! 一緒に呑もうぜ!」
と、言われるであろうことか?

それはもう確実に後者であり、150%そうなることは確信している。

なんせ俺にはバッカスがついている!

ベンチに腰掛け明るい空の下、くだらない話を五分ほどしてたら、
「お~い!」
と、集団の中の1人が手招きしながら叫び始めた。

はいはいはいはい、よしよしきたきた!

ね?
やっぱり。

きたでしょコレ!
コレよコレ!

タダ麦酒。
かぁ~、たまらんね!

「え? 僕ら?」
なんて、わざとらしく一体何用?
みたいな感じで近づいていく。

すると来た!

「麦酒いるか?」
の一言。

きゃっほーい!
うーれしーいなぁ~!

すかさず笑顔で「はい」と答える。

しかも、2人ともが1番好きなVictoria(ビクトリア)。

ラリホー!

しかも、アガベ(サボテンの種類)から作られる蒸留酒・Mezcalまで提供してくれた。

あ~も~イク~!

この瞬間、頭の中で違う人種同士が性交をカマした!

これを世間一般ではチャンポンといい、僕・THEワールドではファッキンニューイヤーという。

たまに生み出された雑種が、ゲロと言う汚い名前で呼ばれることがあるが、ホンマのところはテロや。

テロ in the 便器。

しかし、それはホンマは夢という説もある。

まれに便器に虹が出る。
股間から雨にじみ出る。
肛門から膿にじみ寄る。
それ見て彼女逃げよる。
一夜を逃した切ない夜。
賢治宮沢銀河鉄道の夜。

 ああ、…星になりたい

まあ、とにかくただ酒呑めればなんでもいい。

でも、タクの運ちゃんと昼から呑むんは初めてや。

そもそも何でタクの運ちゃん達が昼間から仕事もせずに、酒を呑んでんねやろ?
日本ではあり得ないであろう光景。

だが、その謎はすぐに解けた。

「オアハカでは8月12日は、Día del taxi(ディア デル タクシー) ~タクシーの日~なのさ」

そう、今日はオアハカで働くタクの運ちゃん達にとって、とても大切な祝い日らしい。

11時にミサを終わらせたら、神様に感謝ってことで教会前で呑むそうや。

その後、少し働いたら、夜は夜でバカ騒ぎするらしい。

クルマのフロント部にも花飾って、まるで日本の正月みたいや。

そんなめでたい日に偶然出くわした、おめでた野郎ハポネッサ。

タクの運転まったく関係ない2人が、おこぼれで麦酒三本も四本もガバガバ呑む。
ついでにメスカルとツマミも。

何人かがほろ酔い状態で仕事に戻る。

僕らはも少しお酒をもらう。

ポリ署の真ん前で麦酒呑んで、そっから車に乗って仕事に出るタクの運ちゃんも、世界広しといえど、そうそうおらんやろう。

日本もそれぐらいのことやりゃええんや。

酒呑んでも平気で運転出来るぐらい、強いドライバーを育てあげるべきや!

罰金がどうのこうのやない。
すべては自己責任。

2〜30万払って勉強しても事故るやつは事故るし、メキシコみたいに一万払って免許買うだけの簡単システムでも、事故らんやつは事故らん。

そうだろベイべー!
わかってんのかいベイべー!

金さえ払えばノープロブレム的なシステムを作り上げてまうから、責任逃れがまかり通っちまう。

日本の腐った国道を、逃リズム共がビュンビュン走り回る。

怖いぜ。
これはとても怖いぜ。

赤ら顔で運転するこの町のタクの方が、よっぽど怖くないぜ。

でも、やっぱり飲酒運転はよくないぜ!

だから、お前のタクには死んでも乗らねえ~。

8月12日のオアハカタクシーには、死んでも乗らねえ。

ハイにはなりたいが、灰にはなりなくないからさ。

自由が炎上したら、この世にはもうな~んも残らへんで~。

パキュ~ン!






ヒッピーに捧ぐ

8月9日(火)
ファックの日に、ここでの初仕事が始まった。

とりあえず朝7時ぐらいに庭をうろついてたら、
「まだ寒いし、地面も濡れてるし、部屋の中にいときなさい。
仕事開始は8時か9時よ」
と、Nuriaさんに言われた。

確かに、昨夜降った雨のせいで地面は濡れてるし、とにかく寒い。
昼間の暑さがウソのように夜中も寒かった。

Lechuguillas出発前、一年五ヶ月間も伸ばした弁髪を遂に切り落とし、ほぼスキンに近い状態にまでカミソリで髪を剃った。


地球、愛、平和、自然、ガンジャ…
そうつぶやきながら、誰かさんのようにベランダから飛び降りてもよかったが、まだまだ僕の頭はイカれてないので無理や。

フライナ~ウ!
ノーセンキュー!

ファックミー! ファックミー!
はちきゅうはちきゅうアバンチュール!

しかし、つるつるの頭はスベスベしていてかなり気持ちいい。
ので、このままスキンを続けようかなぁと思ったが、激烈に寒いし、蚊にアホほど刺されるので、やっぱ伸ばそうと思う。

8時半ぐらいになり、まずは細かい板を道具倉庫にしまう。
袋2つ分なので5分程度で終わった。

その後、朝食。
お粥みたいなんとパン。
そして、コーヒー。

朝は毎日こんな感じやそうや。

朝食が済むと、ぬかるみの上に刈った雑草を敷く作業が始まった。

こうしないと歩きづらいし、雑草もアホほど生える為、上から雑草を敷いて道を作りがてら、新たな雑草の成長を妨げるみたいや。

その後、小さな川を作った。
雨水が木や土に流れていく為の川。
この土地は勾配があるので、基本的には外側から内側へと水が流れるが、よりよく流す為に作ることになったんやろう。

12時頃に仕事が終わる。
後はすべて自由な時間や。

15時か15時半の昼飯までは、シャワー浴びたり洗濯したり、部屋を掃除したり、好きなことをするための時間。

そして、昼飯後も好きなことをするための自由な時間。

20時前にカフェタイムをしたら、一日は終わる。

なんやかんやのんびりした時間が、ゆっくりと進んでる。

こんな感じでええんかなぁ?
と少し思うが、

「ここですることは仕事じゃないよ、遊びよ」

「急がずにゆっくりしよう」

と言ってくれるので、こんな感じでいいんやろう。

”Aquí,todo los días hay mañana”
( ここには毎日、明日がある)

今日出来なくても明日がある。

焦らなくていい。
少しずつ少しずつやっていけばいい。

作ること、食べること、考えること、休むこと。

そのすべてが生き物にとって必要なこと。

必要なことやからこそ、焦らずにゆっくりとやって行けばいい。

地球と一緒にゆっくりのんびり回っときゃええんや。

早く回るんはツイスト踊るときだけでいい。
キチガイみたいに、狂ったまま飛んできゃいい。


忙しく働かなければ、そないに腹も減らん。

少し動いて、少し食べて、たまに羽のばして。

急かせか働いて、稼いで、時間を無くして、心の余裕まで無くしてまう。
そんなようなことはしない。
それがここのスタイル。

なんせNuriaさんは、ここに暮らしてからは一切金を稼いでないらしい。

もう何十年も無収入で暮らしている。

1965年に兄ちゃんのRoberto(ロベルト)と30年間世界中をヒッチで回ったのちに、この土地に住み着いたらしい。

現在はお兄さんが亡くなっているので、1人で住んでいるが。

「ここは好きだから売らずに残そうと思ってる。
売ってしまうと、きっと家が建ち緑が無くなるから。
でも、私はそろそろ違う土地に住みたい。
だから、ここを管理してくれる人を探しているの。
管理人が見つかれば旅に出るつもりよ」
と、Nuriaさんは言う。

「もし2人がここに残ってくれるなら、自分たちの家にして住めばいいよ」
と。

今僕らは客間で寝泊まりしている。

ここには客間以外に、Nuriaの家、キッチン、便所、シャワールーム、修理途中のもう1つの家(ここがゆくゆくは僕らの家になる予定。残るならね)、そして、作りかけのキッチンとシャワールーム。

すべて離れにある。
これから二匹の鶏の為の鶏小屋も作る予定や。

そして、とにかく土地が広いので、作物を育てることも余裕で出来る。

今はNuriaさん1人やからなかなか手入れも大変やが、僕ら2人と、もう1組カップルが住めば、楽しくやって行けそうな気がする。

彼女自身はお金はいらないみたいやが、別に僕らが稼ぐことに関してはいいみたいやし。

なんせ手持ちの金も、貯金も少ししかないので、多少は稼がんとキツイ。

僕の考えでは、ここで育てた野菜を使って食の大半をまかない、余るようなら売るなり物々交換したりして、調味料や他の食材を手に入れりゃいいんちゃうかなと思う。

ビザがもらえりゃこそこそせずに、マッサージで少しずつ稼ぐのもいい。

言葉を覚えれば働きに出たり、営業かますことも出来る。

2人だけやと、1人が働きに出たらここを管理するのが1人になって大変やけど、4人おれば2人が狩りに出て、2人が家を守ればいい。

三人寄れば文殊の知恵なら、四人寄れば文殊の知恵以上のモンがわいてくるやろし。


う~ん、憧れの原始スタイル。
ウンバボー!

まだ来たばっかやから、どないなるかわからんが、僕らの約束の地がここであるならば、残りの人生、まだまだ現役ヒッピーのNuriaさんに捧ぐのもいいやろう。

Nuriaさんのカルマが旅をすることなら、Nuria&Robertoの思い出の地を守っていくことが僕らのカルマなんかもしれんし。

しかし、まあ、明日のことは明日にならにゃわからんけどね~。
なんせ、ここには毎日のように明日があるんやさかい。

”Aquí,todo los días hay mañana”
(アキー トード ロス ディアス アイ マニャーナ)

この言葉をヒッピーだけでなく、すべてのイカレポンチどもに捧げよう。

”ウィッピー! ワッパー!”
”ヒッピー!    ハッパー!”