2011年4月30日土曜日

Rock'n'Rollが呼んでる

29 de abril
サンクリストバル・デ・ラスカサスでの最後の仕事が無事に終わった。

最後の仕事は、manzanilla(カモミール)を摘む仕事だった。

なんでも、カモミールティーにするらしい。

そういやカモミールティーなんてお洒落な茶は、今だかって飲んだことがない。

一体どんな味なんやろう??

そして、どんなお方が飲むのだろう??

僕が想像するに、きっとどこぞのご婦人たちがバター犬を引き連れ、オープンテラスに深々と座り、子指を立てながらすすり飲むような飲み物なのではないだろうかと思う。

そして、彼女たちは会話する。

「本当に美味しいカモミールね。
きっとキレイなお花畑で素敵な夫婦が一生懸命摘んでるんだわ。
ちいさな女の子がお手伝いしたりなんかして、まわりではワンちゃんがかけまわって‥」

しかし、実際は違う。

カモミールとは全く無縁なガンジャ好きアメリカ人と、インド大好きパナマ人が、上半身裸で女の子座りしながら、
「あっついあっつい」
言いながらだらだらと摘んでいるのだ。

その後ろ姿はとてつもなく気持ち悪い。
写真でお見せできないのが残念なぐらい気持ち悪い。

そして、後ろでは日本人2人がこれまただらだらと、畑向こうのテーブルでは、メキシカン2人が、
「ビリビリブー! ビリビリブー!」
と歌いながら、いつものようにトランプゲーム。

こんな中で摘んだカモミールは、一体どんな味がするのだろう?

もしかするとその答えは、犬のみぞ知るのかも知れない。

バター犬に幸アレ!!

まあ、そんな話はどうでもいいとして、明日とうとうこの町に別れを告げる。

結局Campecheの水牛農家とは、タイミングが合わなかった為に断わった。
代わりに、Campecheよりだいぶ西に進んだ、同じメキシコ湾沿いに位置するVeracruzという町の農家で働くことになった。

偶然か必然か、その農家の夫妻が今日から一週間ほどこの町に来ている。
なので明日、Tianguisと呼ばれる
野外市場みたいなとこで会ってからベラクルスへと向かうことになった。
明日ここで出店するみたいだ。

これまた偶然か必然か、いま働いている畑で取れた作物も、毎週土曜日にtianguisにて出店している。

人と人との縁とは、こういうもんなのかもしれない。

シンクロニシティ的な出会い。
きっと次の旅も楽しいものになりそうだ。

アンドレスとサヨナラするのは辛いけど、よくよく考えたらアンドレスは六月にベラクルス来るみたいやし、縁があれば同じ農家で働けるやろう。

パナマ人サウロはカナダに行くみたいやが、パナマに行くことがあればメールくれたら家族に言うとくみたいなことを言ってくれたので、パナマに行けば、サウロの幼き日の思い出に触れることが出来る。

るろうに剣心が好きらしいから、漫画置いてるかもしれへんし。

ファロンは2日前に出ていった。
メキシコシティで働くみたいやが、ミサイルを落としたあとはキチンと流すということを早々に学ぶべきだろう。

そして、新しくきたキャルシーは、とにかく大きい。

そんなこんなでサンクリ最後の夜。
週末だ!


週末といえば、
高木まひことシェキナベイベーズ。
”Rock'n'Rollが呼んでる”
を聴いてテンションをあげよう!

週末こそはビールとビールとビールで~!

そして、酒場へ行こう!
もちろん安酒場!

スーパーで売ってるビールに7ペソ(50円ぐらい)追加するだけで、ツマミがついてくる安酒場。

下手したらツマミ分、店が損してる感まんさいな安酒場。

ここで飯食ったら、確実翌日腹下す安酒場。

最後の夜は、michelada(ビールにライムとかタバスコが入ってるカクテル。バカウマ)で乾杯やぁ!

ビリビリブー!

FANDANGO〜狂った夜のもらい乞食〜

ほろ酔い気分で町へと繰り出した三人。
経済大国出身のわりに金のない阿呆共が、雁首そろえて一体どこへ向かうというのだろうか?

ここはいうなれば観光地。
皆それぞれにわっさわっさと金をばらまく場所であるから、貧乏人には肩身が狭すぎるってもんだ。

5分ほど歩いただろうか、アンドレスが立ち止まり指をさす。

「この店に入ろう!」

彼が指さした店は、”Revolución
”という名のBARだった。

Revolución=革命。

クーバ・リブレを呑んだ後に、革命という名の店を選ぶとは、アンドレスもこれでなかなか粋なはからいをするアメリカ人ではないか。
どうやらまだ、頭がイカれたわけではなさそうや。

ちなみに、Cubaでは町の至る所にRevoluciónと書かれている。

それにしても、彼はここで一体どんな革命を起こそうというのだろうか?

まさか散々食って呑んでした後、仲良く食い逃げしようぜとでもいうのか?

確かに、日米間でさまざまな条約を結んでいるのかもしれないが、仲良しこよしで食い逃げするなんて条約は結んではいないだろう。

食い逃げ革命を起こすような奴とは友達にはなれそうもない。

ごめんや。

だが、ポコチンさらけ出してマリフアナ吸いながら、
「ハル~。ユウキ~。ぶりぶり~」
なんて叫び、笑顔でメキシコのPolicíaに連行される。

そういった革命を起こしてくれるというのであれば、僕らは一生アンドレスと友達をやめないだろう。

国境を超えたベストフレンドになれるハズだ。

席につき麦酒を頼む。
日本語しか話せない日本人と、日本語の話せないアメリカ人が、なんやかんや話をしている。
ジョン万次郎とペリーが会話をしたとして、きっとこんな感じやろう。

アンドレスが席を立った。
きっと便所にて一服しているに違いない。
捕まる準備は万端なのか??

2人で呑んでいると、メキシカン2人に相席をお願いされたので、一緒に呑むことになった。

アンドレスが戻ってきて、五人で話をする。
っても、僕ら2人は蚊帳の外。

隣のテーブルに置いてあるビールピッチャーを、なんとかバレずにパクる方法をひたすら考えるのみだ。

そんな悪だくみを考えていたら、あっちゅー間に三人の酒はなくなった。

僕は悩んだ。
革命を待つより革命を起こした方がいいのではないかと。

いつも世話になっているアンドレスの元に、そっとピッチャーを届ける。
そして彼が喜ぶ。

そんな笑顔革命を起こそうと、財布の中身を確かめたあと、95ペソもするピッチャーをウェイトレスを捕まえ注文した。

そして席に戻った。
するとアンドレスが、何語かわからない言葉を語りかけてきた。

こちとらラムで若干酔っている。
日本語すらわからない状態なのに、外来語で語りかけるなどホントやめて欲しい。

はっきり言って迷惑だ。

しかし、待て。
これは! まさにこれは!
吉報な予感。

メキシカンが酒をおごってくれるということを、彼は伝えようとしている。
そんな感じがヒシヒシと伝わってきた。

僕は、どの国の人間が何語で話そうとも、酒をおごってくれるということに関してだけは、理解出来る自信がある。

なんとなく雰囲気でわかるのだ。

そして、今がおごってもらえるとき!

ということはだ。
先ほど頼んだピッチャーは、いち早く断らなければならない。

でなければ、おごってくれるであろうビールは、雲の彼方へと消えていってしまうからだ。

僕らはダッシュでウェイトレスの元へ向かった。

そして、
無我夢中で注文の取り消しを行った。

ウェイトレスは、今まさに注がれようとしているビールを、間一髪でとめてくれた!

彼女は最高のウェイトレスだ。

僕らは心から謝り、そして感謝し、あの人はガンジャし、席に戻った。

もし、このときの僕らの行動の一部始終を誰かがビデオで捉え、YouTubeとやらでUPしたならば確実に、
”惨め  日本人 ワラ”
”ニッポンの恥さらし”
などのコメントをつけられていただろう。

それほど僕らは必死だった。

アンドレスの笑顔が見たいなどとぬかしていながら、自分たちがタダで酒を呑むことに必死だった。

ええ大人がなんとも恥ずかしい姿をさらしたもんや。

だが、恥や外聞よりも、ビールがタダで呑めるということは、何よりも大事なことなのだ。

‥少なくとも僕らにとっては

メキシコの観光客に酒をおごってもらいノリノリになった三人は、同じくノリノリなメキシカン2人と共に、うさんくさいカリビアンミュージシャン・パンチョ(ファロンの友達or彼氏?)の奏でる音楽に乗って踊る!

演奏が終わり、Revoluciónを後にしたあと、また違う酒場に行くことになった。
もちろんメキシカン2人も一緒だ。
その理由は言わなくともわかるだろう。

僕ら三人は身なりこそキメてるつもりなものの、先進国を代表するもらい乞食。

同情がエサ。
鳴くだけが取り柄の雛鳥のように、親鳥がエサをくれるのを待つばかりかついて回る。

なかなかタチの悪いクソ人間だ。

二軒目につく。
酒を注文!

子供連れと勘違いされ、ガードマンに入店を拒否されたが、しばらく話すうちに仲良くなり、中へと入る。

ここでもLIVEやってるんや~とおもたら、またまたパンチョ登場。

普段は、昼間っから長渕ヘアーの友達と共に、プラプラする姿しか見かけへんが、なかなかよく働く人や。
少し見直した。

これからはパンチョさんと呼ぼう。

ビール片手に、ボブマーリーのような彼の歌声に酔い、酒に抱かれ、狂ったように踊る!
もちろんツイスト!

気がつけばもう2時前。

メキシカンに別れを告げて宿へ帰る。

倒れるようにベッドで寝そべったあと、翌朝アンドレスに言われたことは、
「ハルはロコだね」。

Loco=クレイジー。

彼からしたら、僕は狂った日本人。
そう思われたなら本望だ。
狂ってるなんて最高の褒め言葉だからだ。

しかし、あんたもなかなか狂っているよ。

この町にいるのもあとわずか。

狂った夜にあらわれるという、先進国のもらい乞食たちは、あと何度、人さまからほどこしを受けるのだろう?

それは僕らの気分次第だ。

2011年4月22日金曜日

FANDANGO〜鳩になりたい〜

ファンダンゴと聞くと、ライブ好きさんは真っ先に十三ファンダンゴを思い浮かべるだろう。

そして、ライブに無関心な方は、なんとなく響きいいなぁぐらいにしか思わないだろう。

そして、僕たちは今後サンクリストバルを思い出すだろう。

Mercado(市場)近くのスーパーで発見したラム酒 ”FANDANGO”。

ファンダンゴとはスペインのダンスのこと。
陽気なダンスだそうだ。

て、ことはこれを呑むと陽気に踊れるのだろうか??

まあ、それはさて置きとりあえず購入することにした。

外面には、AÑEJOと書いている

確かに琥珀色してはいる。
が、きっと着色してるんだろう。
樽には漬けてはいまい。
なぜなら超がつくほど安いからだ。

その値段ナント、一本27ペソ(約200円)。

ベトナムで購入した、クソまずラム ”メコンラム”とタメをはる価格。

まずい可能性大な酒だ。

もしも、クソまずかったなら、僕らは泣きを見る。
なぜなら940mlもあるからだ。

だいたいウィスキーにしろ、ラムにしろ、ボトル酒は700か750が基本。
プラス200ほども多いのだから、二~三杯は切ない気分を味わなければならない。

切ない気分と言えば、買って帰ったボトルが700やった時ほど切ない時はない。

なんで700のボトルなんて作るねん!
と、言いたくなる。
50mlの差はデカイ!

50mlと言えば、気前のいいBARで呑む酒の一杯分はある。
てことは、一杯分損したっつーことや。

もしもこの世に、
”ボトルに物申す会”
なんてのがあるならば、即座に入会し声を大にして、
「700やめろ! 700やめろ!」と、叫ぶのだが、残念ながら現在は地区子供会なので、大人に言われるがままにうなずくことしか出来ないでいる。


無事に帰宅し、まずはストレートで呑んでみた。

「ん? なかなかイケるではないか!
てか、うまいやん」

若干ウソくさい味はするものの、なかなかうまい!
度も38あるし十分酔える。

ただ、確実に悪い酒なのはたしか。

だがまあいい。
どうせ酔ってさえしまえばこっちのもん。

こんなイカれた世の中じゃあ、こっちもイカれなつきあいきれない。
だから、十二分に安酒を呑んでイカれてしまえばいいのだ。

翌日。
アンドレスを誘い、共にファンダンゴをクーバ・リブレにして呑んだ。
日本ではキューバ・リブレ

アメリカではラム&コーク。

知らない人の為に説明すると、まんまラム酒をコーラで割るだけのコクテル(カクテル)だ。
ライムを絞ればなおウマし!

ちなみにコーラと言ってはいるが、僕らが買ったのはペプシ。

何故ならば、メキシコではコカコーラ2.5ℓが20ペソなのに対し、ペプシは同量で15ペソ。
5ペソも安い!

そして、5ペソ(約40円)あれば、ライムが7〜8個買える。
メキシコではライムが一つたったの5円ほど!!

日本なら安くても100円。
成城石井みたいな金持ちスーパーやと200円。
Muy caro!
高い! 高すぎる! アホか!


アレハンドロはリッチにコカコーラを飲んでるというのに、ハポネッサは40円ケチッてウソのコーラを飲んでいる。

まあようするに、
「何呑んでんの?」
と聞かれて、
「ビール!」
と言いながら、発泡酒を呑んでるようなもんか。

ツマミを食べながら、クーバ・リブレをやる。

すると、アンドレスが言った。

「今日レストランでギターライブやってるから行かん?」。

そう、僕らが寝泊まりさせてもらってるレストランでは、ちょこちょこライブが開催されている。
なんせ100人ほど収容出来るスペース。

使わな損。

呑み散らかした物の後片付けをし、レストランへ向かう。

徒歩5秒。

着くと、結構な客の入り。
なかなか人気があるようだ。
ボヘミアンな感じのボッサ系ライブ。
なかなかいい。

こんなライブ、タダで聴けるのもボランティアの特権!
と、思たら大間違い。

ライブ代を払う代わりに皿洗いでご奉仕。

21世紀の世の中で、金がないから体で払うなんてことしてるのは、きっと地球人ぐらいなもんやろう。

宇宙人が聞いたら、鼻で笑うどころか鼻くそつけられるわ。

皿がたまれば洗い、洗い終われば歌を聴く。

もちろんご褒美の酒などない。
わびしく目をつぶり歌を聴くだけ。
なんとも辛い!

するとアンドレス。
「いっぺん部屋戻ってラム酒呑んでからこよう」

なかなか知恵のまわるアメリカ人だ。
意地でもこのレストランでは金を使わないつもりなのだ。
イカした考えや。
賛成だ!

徒歩5秒で宿へもどり、FANDANGOを呑む。

しかし、ゆうちょうに呑んでいる時間はない。
Por que(なぜなら)ライブが終わってしまうからだ。

なので、一気に呑んで、ダッシュで戻る。
その姿はまるで、我慢出来ずに会社の便所で隠し持ったワンカップを急いで呑む、アル中リーマンのようだ。
とても醜い。

そして、アンドレスに関しては、ガンジャも吸わなければならないので大変だ。

酒を呑み終えたら、自ら巻いた悪いタバコを一吸い。
そして、揉み消したあと胸ポケットに入れる。
再び吸うためだ。

一本のタバコを一吸いしては消し、再び火をつけては吸い、また消す。
わびしい。
心からわびしい。

もしも、このときに神様が現れて、なにか違う生き物に生まれ変わらせてあげるよ。
と言ったなら、僕らはすぐさま、
「じゃあ鳩にしてください!」
と、言っただろう。

なんせ鳩は、
ポッポッポ~ 鳩ポッポ~
豆が欲しいか そらやるぞ~
と、歌になるぐらい、タダでメシを食える存在だからだ。

それに比べ、僕らはさまざまな出来ごとにより、鳩が豆鉄砲くらったような顔をすることはあっても、金がなければ豆すら食えない。

なんもせずとも飯が食えるという、鳩以下の存在である人間。

そんな人間からタダで豆をもらうことが出来る鳩。

鳩と人間はとてつもない関係で成り立っている。

なんだかむしょうに腹が立ってきた。
これからは鳩に豆などやらずに
豆鉄砲をくらわせたろう。

うん、決定や。


そうこうしてる間にライブは終わった。
一気呑みのせいで酔っぱらったのか、ガンジャで気分がよくなったのか、勢いづいたアンドレスが、
「別の店で酒呑んで踊ろう!」
と言ったので、あくまでもここではなく、別の店で金を落とすことにした。


節約ガンジャマン・アンドレス。
そして、アル中ビンボニスト・ハポネッサ。
貧乏この上ない三人は、風邪で寝込んでいる、特大ミサイルランチャー・ファロンを置いて、夜の町へと繰り出したのだった。

2011年4月20日水曜日

酔いどれオヤジーPOSHに死すー

Diecisiete de abril-domingo-(4月17日の日曜日)。
予定どおり、San Juan Chamulaという村へ行ってきた。

二年前同様、なかなか開けた観光村。

路上には民芸品が数多く並べられ、村のあちらこちらで現地の方が織物などを売り歩く。
観光客は、それをなるだけ安く購入するために値切る。

当時は、僕らもその観光客のうちの1人やった。

だが、今回は目的が違う。
すべてはPOSHのため!
その為に1人10ペソも払い、corectivoに揺られてやってきたのだ。

アンドレスとファロンはチャリで後から来るとのことなので、一足先にPOSH探しに繰り出した(多分、アンドレスたちの目的は酒ではない)。

とりあえず騒がしい中心地を抜けて、外れへと歩いた。

もしかしたら、中心地の呑み屋にあるのかもしれないが、なるだけ現地価格で安く仕入れるのが貧乏人の生きる術。
調子こいて金持ち感覚でゼニをばらまくと、あとで泣きを見る!

「仕事で頭を使うんやない!
   安酒の為に頭を使うんや!」

5分ほど歩いただろうか、まったく何もなくなってしまった。

とりあえず商店のおばちゃんに聞いてみる。

「Tiene posh?(poshある?)」

「知らん」

え? 無いならまだしも知らんて!

どーゆうことやと思いつつ、ひたすら歩くが、どこの商店にも麦酒すら置いてる気配がない。
置いてる飲み物といえば、ソフトドリンクか水ぐらいなもんや。

もしかしたら、店で呑むしかないのんかなぁ??

ちょっぴり諦めかけていたとき!

素晴らしき光景がしっかりと目に飛び込んできた!

砂糖やサルサや洗剤などの、日用雑貨のみが置いてある商店で、店主と客のおっちゃんが手にしている物。

それはあきらかにCerveza(麦酒)であった。

真っ昼間から呑んでるようなやつは、確実に知らんはずがない!

ダッシュで聞きにいく。

「Tiene posh?」

「ここにはないわ」

ここにはないと言うことは、どこかにあると言うことで、存在を知っているからこそ言えるセリフなのは、猿にでもわかる簡単な答え。

即座に返す。

「Donde esta comprar?(どこで買えるの?」

※ちなみにちょこちょこスペイン語間違えてる可能性大!

すると、お客のおっちゃんが横から口を挟む。

「どれぐらい欲しいんや?
一本か半分か?」

「半分でなんぼ?」

「ここで待っとけ!」

おっちゃんはそう言うと、ささっと出て行った。

値段に対する返答はなく、ポケットの中にある200ペソで足りるのかどうか、不安だけが襲いかかる状況下で、とりあえず麦酒を頼んでみた。

「Señor dos cerveza por favor」

「Si」

「Cuanto?(いくら?)」

「ん~。24ペソ」

一缶10ペソの麦酒がたった2ペソ追加しただけで呑めるなんて、なんて良心的な店なんやと思ったのもつかの間、よくよく考えるとここはBARでもなんでもない、ただの商店やということに気づく。

じゃあ何故、ここで2人が麦酒をカウンター越しに呑んでいたのか?
それは、すぐに答えが出た。

店の端っこに置いてあるダンボールから、渋り渋り持ってこられた麦酒。

当たり前だがヌルい。
冷蔵庫ではなく、ダンボールに入っていたのだから当然だ。

そう、ここはBARではない。
ということは、この麦酒は売り物ではなく、店主とオヤジが昼間っからへべれけする為に置いてある私物だっというわけだ。

て、ことは、2ペソぼられたわけだ。

いや、まて、良い風に考えよう。
町で購入したのだとすれば、町からここまで車で30分。
ガソリン代と考えるなら安いもんや。

うん。それしかない!

椅子に腰掛け、生ぬるい麦酒を呑む。

うまい!

冷えてようが、冷えてなかろうが、昼間から呑む酒というのは、どうしようもなく美味いもんや。

ぷは~っ!
と、一服していると、オヤジが帰ってきた。

だが、手ぶらだった。

あれ?
あれれれれ?

もしかしてPOSHないの?

がっかりやわ。
麦酒代返してよ。
と、思ってたら、オヤジがふところから、透明な液体の入った、小さなペットボトルを取り出した。

ちょうどあの、なんでなんかわからんぐらい小さいポカリのペットボトルと、同じぐらいのサイズの物やった。

「これがPOSHやで」

まぢで!
やったあ!

ご丁寧に小さなプラスティックのコップまで、用意してきてくれているではないか!

何故3つあるのかは不思議やったが、とりあえずストレートで注がれた酒は、僕とゆうきちゃん、そしてオヤジの手もとに落ち着いた。

「お前が呑むんかい!」
とは、ツッコまずに爽やかな気持ちで乾杯をした。

初めて口にするその透明な液体を、恐る恐る口に運ぶ。




…きっつ!!

第一印象はその一言だった。

なんつーんやろう?

焼酎にスピリタスを足したような、ほんのり甘く、呑みにくく、確実に悪い酒やとわかるような、だがとても愛おしい味。

性悪やけど、どこか憎めない女とキッスしてるような‥

好きや。
僕は好きな味や。

度数でいえば、40度あるかないかぐらい。
クセが強いのでテキーラより強くは感じる。

店主がいうには、
「POSHはこの村のTradicionalな酒で、cañaとmaizで出来てるんだよ」
だそうだ。

さとうきびと、とうもろこしか。

僕は酒仙を目指しているだけであって、その道の達人を目指しているわけではないので、難しいことは言えない。

だから、この酒を一言で例えるなら、
「ラム酒と、樽に漬ける前のバーボンを、足してから2で割った酒なんちゃうのん」
だ。

まあ、そんな酒&麦酒をチェイサーがわりに呑んでいくと、次第に酔いもまわる。

オヤジはしつこく何度も、
「ジャッキー・チェンは日本人か?」
と尋ね、
僕らはそのたびに、
「違うよ」
と、答える。

店主は会話に入りながらも、サッカーの行方が気になるようで、ちらちらTVを横目で観る。

オヤジの右の鼻の穴からは、ぶらぶら黄緑色の物体が揺れ動く。
僕はそれを見て、ただひたすらに笑いをこらえながら、酒を呑み続けるだけだ。

オヤジは言う。
「もっと酒が欲しくないか?」
と。

そら欲しいに決まっている。

はいと答えると、オヤジは再び姿を消す。

そして、すぐに戻ってきた。
が、また手ぶらだ。

だが、今度はふところがぷっくり膨らんでいるのがわかった。

どやっ!
と、ばかりに隠しもった酒を出す。

「おお~!」

リッターボトルのビール参上!

これには一同大喜び。

しかし、栓抜きがないと言い出した。

何べんも言うが、ここはBARではないので、すぐに栓抜きが出るはずもない。

「この酔っぱらいめ! どアホ!」
なんてことは言わない。

これまた何べんも言うが、酒仙を目指すと言うことは、いついかなるときでも、酒を楽しむということ。
てことは、栓抜きの1つ持ってるのが当たり前の話なのだ。

そそくさと、自前の栓抜き付きソムリエナイフを取り出し、栓を抜く。

うまい!
人の金で呑む酒とは、何故こうも美味いのか?

それは答えるまでもない、ふところを気にしなくていいからだ。

そう言えば先週末も、現地人にビールをごちそうになった。

メキシコの酔っ払いは気前がいい。

Bien!!

テンションは最高潮に達し、酔っぱらい三人は、夜ストを聴きながら踊る!

オヤジはトラブルボーイズが気に入ったらしく、ずっと、
「トラブルボーイズ!」
と叫ぶ。

メキシコの酔いどれも、夜ストが好きなようだ。

Muy bien!!

そんなこんなで時間がたつと、アンドレスとファロンのことを、すっかり忘れていたことに気づく。

そろそろお開きな時間かな?
酔っぱらいもほどほどが一番。

「帰るわ」
というと、
「まあこっち来い」
と、店の真ん前にあるオヤジの家に案内された。

鼻くそぶら下げた酔いどれオヤジの家は、なんともキレイな三階建て。

この酔っぱらい金持ちか!
どうりで気前が‥

こうなってきたなら話は別。
アンドレスとファロンも呼んで、わいわいするしかないがな!
と、思っていたら、嫁はん登場。
かなり怒っている。

挨拶もなんなく無視され、険悪なムードに。

これはもうすべてオヤジのせいだろう。

普段マジメにしてれば、酔いの一回、二回はスルーしてくれるはずやし、どこの馬の骨かわからんやからを連れてきたかて、
「わ~お、日本人? おーいぇー!」
で、済む話。
が、きっとこの酔っぱらいは、毎週末昼間っから酒を呑んでは、どこの馬の骨かはわからんやからを連れこんでいるのだろう。

嫁はんの切れ具合でわかる。

とばっちりくらうのはごめんなので、そそくさと退散。

オヤジは不機嫌そうにサヨナラを言う。
きっとこの後は、嫁はんからかなり絞られるんやろう。

死んだなオヤジ。
Good by Adiós さようなら。

僕らはchingana(安酒場)へ行く金もなく、コレクティーボに揺られて宿へと帰った。

結局、最初のビールしか金払ってないので、POSHの値段は分からずじまい。

まあ、酒ってだいたいそんなもんやろう。

来週からは、結局水牛と格闘することにした。

水牛の乳焼酎に期待して、いざcampecheへと向かおうではなかろうか!

2011年4月17日日曜日

日々の仕事

ここに来て、二週目の仕事が終わった。

毎朝7時にニワトリの鳴き声で起こされた後、だらだら準備。

8時に朝食を持って出かけ、市場前からcorectivoに乗って農家へと向かう。

ここでは、レタス、にんにく、ニンジン、コリアンダー、いちご、ブロッコリー、セロリ、ジャガイモ、小麦etc‥
主に野菜を作っている。

小一時間ほど働いたら朝飯を喰らう。

ボスのアレハンドロとエステバンは、トランプで賭けをしながら時間を潰し、僕らはひたすら雑草を抜いては一輪車で運び、水をまき、肥やしをまく。

そして、2時すぎになれば、再びcorectivoに乗って宿へ帰るのだ。

ちなみにCorectivoとは、14人ぐらい乗ったらパンパンなるぐらいのミニバスみたいなやつや。

一服して、3時半になったら、レストランで高級ベジタブルビュッフェをタダで食す。

なんせ一食1人100ペソ!

約700円ぐらいやから、日本の定食と変わらへん。
高いよ。これはマジで贅沢や!

プライベートやと一食25ペソ(200円足らず)を2人で食べてるっつーのに。

まあ、平日はだいたいこんな感じで過ぎていった。

農場が山にあるため、陽射しはキツイし、空気は薄い。

初日はめまいと耳つんぼ、からだのだるさに襲われた。
ゆうきちゃんにいたっては、目の前がモザイクがかったぐらいや。
まあ、2日目からは普通やったが。


そして、土曜の夜はアンドレスの友達の家に酒を持ち寄って集まり、宴会をした。

やつらはハッシシが大好きや。

こちとらオンリーロンリーアルコールだが。

そして、出来上がったらクラブでサルサ to ナイト!

コカインやマジックマッシュルームを売りつけようとするバイヤーをパスして、ダンシング to ナイト!

そして、疲れ果てベッドで深い眠りに着いた。

てか、この仕事めちゃくちゃ楽やん!
と、思ってたら今週はなかなかハード!

丸太運んだり、50kgある土担いだり、一気にへこたれかけた。

だから、昨日はサタデーナイトにもかかわらず、早く寝た。

今日は昼からアンドレスとファロンと四人で、Sanfuanchamuraっつー村に行く。
サンクリストバルにPulqueはないが、代わりにここには、POSHっていう強い酒があるらしいので楽しみや。

二年前この村を訪れた時には知らなかった。

驚いた!
わ~お!
これやから旅はやめられへん。

行くたびに新しい発見がある。

そこには、初めて乳首をいじることの気持ちよさに目覚めた、中二の夏のあの感動がある。
楽しみや。

しかしながら、この町の風に呑まれて風化していきそうな中で、日々思うことはここが約束の地ではないということだ。

二年前に抱いた気持ちはしょうみ薄れた。

この町も人も素敵だが、この町に住むという意識はなくなった。

なぜなら観光地だから。

やっぱり住むなら田舎がいい。

あまり人の多くないところがいい。

それと日本人が1人もいない方がいい。

サンクリストバルには日本人が10人近く住んでいるみたいや。

こないだかるく会ったが、あきらかに別世界の人間やった。

一緒に一献やりたいと思わなかった。

心のチンポが勃起しなかったので、その日本人たちとはメンタルセックスは出来そうにないなぁと感じた。

抜き差しならないのであれば、乗るか反るかで言えば反っちゃうわけだ。

乗れないのであれば、のれそれ出来ないYO!

あと一週間で、ここでの仕事は終わる。

そのあとは、Campecheという夕陽がキレイな要塞都市にて水牛と米を育てる予定やったが、最低二ヶ月は働かないといけないという条件がついてきた。

VISAの問題があるので、只今変更に向けて他の農家の方にメールしてるとこや。

しゃあけど、僕らの約束の地はいったいどこなんかなぁ~?

とりあえずは残り一週間、ロックを聴きながら雑草を抜こう。

ファック!!
ロック!
ファック!!
ロック!
ファック!!
ロック!
POSH!!!!

PS.アメリカでは現在、ヒップホップが主流らしく、ロックンロールを聴くのは若くない50代のオジサンぐらいらしい。

2011年4月10日日曜日

Agricultura(農業)

4月4日(月)に、受け入れ先農家のkippyさんが経営するレストラン、CASA DEL PAN に向かった。

少し不安やったが、無事に出会い、ひととおり挨拶を交わし、同じボランティアのAndresと Fallonを紹介してもらったあと、待ってましたと言わんばかりの問題に差しかかった。

「あれ? スペイン語話せないの?」

「うん。英語も無理」

「でも、メールはものすごくスペイン語上手だったじゃない?」

「あれは辞書やらネットやらで調べて書いたんです」

「なるほど」

一瞬、間があいたので、帰りなさいと言われるかなと思い、退散を覚悟する。

が、
「じゃあ、部屋案内するわね」
と、快く迎え入れてくれた。

ラッキー!

やはり運だけはええみたいや。

そんな感じで2人は、翌日から、MexicoでAgriculturaをすることになった。

アメリカ人2人と、僕とゆうきの計四人が、小さな部屋で寝泊まりする。

なかなかスリリングな生活ではないか。

アンドレス(男)と、ファロン(女)。
はる(男)と、ゆうき(女)。

日米対決が始まりそうな予感や。

しかし、小便でも行こうかなとトイレに入った瞬間に、この対決は早々に決着がついてしまった。

用をたすため、便座のフタを開ける。

するとそこにはアメリカンサイズのかりんとうが、プカリプカリと浮かんでいるではないか。

これにはさすがにノックアウト!

一体誰が?

そういえばさっき女性の方が??

いやいや待て待て。
ナンボなんでもそれはないやろ?

もしかしたら男性の方かもしれない。

そう思いながら、あっという間に夜になった。

僕は息を殺し、その時が来るのを待った。

そして、その時は来た!

女性の方がトイレに入ったのだ!

大か? 小か?
半か? 丁か?

時間は刻一刻と進む。

そして、明らかに大ほどの時間が過ぎて、彼女は出てきた。

その後、ゆうきちゃんがトイレに入る。

「ウンコ流れてない~」

やはり犯人は彼女だった。

日に二度も特大のブツを流す人に、僕らは勝てるわけがない。

ミサ~イル~   ミサ~イル~

彼女が放つミサイルは、確実に僕ら2人を打倒すために、捻り出されたモノなのだ!

そもそもウンコは流そうよ。
と、言いたいが、ウンコは流さない主義なのかもしれないから、それは彼女の勝手だ。

彼女が民主主義だろうが、社会主義だろうが、ウンコは流さない主義だろうが、別に世界を悪に染めるわけではない。
むしろ、ウンコは流さない主義の方が、地球にとってはいいのかもしれない。

気持ちいいほどの敗北感。

僕はこの人たちと仲良く出来そうだ。

英語とスペイン語は話せるのに、日本語はまったく話せないというちょっぴり変わった2人だけど、仲良くやって行けそうだ。

2011年4月4日月曜日

昼間のうんこ! 夜中のうんこ!

本日、受け入れ先の農家の方が経営しているカフェの場所を確認しに行った。

初めは、もともとゆってなかったTianguis Organicoとか言う場所に行ったが、市場があまりにも広すぎる為、断念。

なんで、最初から聞いてたCasa del pan へと向かった。

現地人に聞いてようやくたどり着いた瞬間、発見出来た喜びと、うんこを踏んだ驚きで、とてつもなく複雑かつ、幻想的な、思春期の頃の気分を味わいはしなかった。

ベタに運がついてるんやとしか思わんがな普通。
水たまりに足をツッコミうんこを落とす。
メキシコに来てもやってることは日本と一緒。

生まれ故郷・中島の、うんこ島を思いながら、メキシコ時間、深夜4時。

大量にうんこを出した。

踏みつけるうんこに、出すうんこ、同じクソなら出さなきゃ糞詰まりで卒倒!

なにわともあれ明日は運命の待ち合わせ。
来週の月曜日には、日本の被災者の方たちを支援するための活動も農家の人たちとするみたいや。

同じ国に住んでても悪いことする奴もいるというのに、遠く離れたこの国に、日本のことを思ってくれ、何かを起こしてくれる人がいる。

僕はこの国で、より一層心の豊かさというものを、学び。
そして、吸収したいと思う。

太陽の国・メキシコ。
でも、日本だって太陽の国や。

国民1人1人が太陽みたいに輝けるはずや!

ちなみに、アメリカ人が2人一緒に働くらしい。
それを聞いたマイハニーは、
「英語もスペイン語も話せるようになるね」
と、お気楽なことを言っているが、まったく言葉が通じず、ボディランゲージを駆使しつづける2人がペラぺラになるのはいつのことだろうか?

一ヶ月先か、二ヶ月先か、それともどこぞのアホが翻訳こんにゃくを作るのが先か?

こんにゃくは切り込み入れて、オナペットにでもしちまいやがれ!

2011年4月3日日曜日

メヒコについて3日目。

とりあえず無事にメキシコに着いた。
アメリカ経由やから、ややこしいかなぁなんて思っていたら、案外あっさり入国出来た。
帰りのチケットも、マイフレンドがっくんに頼んでキャンセルしてもらったので、好きなときに帰れる。
Cancunからバスでchetumalを経由して、目的地San Cristobal de Las casasへとやってきた。
色々な失敗を重ね、小便くさいバスに乗って、ようやくこの地に辿りついた。
やっぱりここは落ち着く。

WWOOF受け入れ先の方からもメールが来たし、バツグンについてる予感。
あとは、スペイン語のわからない2人を快く迎え入れてくれるかどうかや。

まあ、なんとかなるやろう。

それにしても、Wi-Fiはすごい。
携帯解約してても、ただでメールが出来る。
だいたいの宿がWi-Fiサービスを行っているから、タダでインターネットし放題や。

これで写真も添付出来れば万々歳やが、それはワガママというもんやろう。

Cervezaにサルサピカンテいれて呑んだら酔ってきた。
そして、毛虫に刺された腕が痒い。
まだ夕方やけど眠い。
タコス食って寝よ~と!