2011年4月30日土曜日

Rock'n'Rollが呼んでる

29 de abril
サンクリストバル・デ・ラスカサスでの最後の仕事が無事に終わった。

最後の仕事は、manzanilla(カモミール)を摘む仕事だった。

なんでも、カモミールティーにするらしい。

そういやカモミールティーなんてお洒落な茶は、今だかって飲んだことがない。

一体どんな味なんやろう??

そして、どんなお方が飲むのだろう??

僕が想像するに、きっとどこぞのご婦人たちがバター犬を引き連れ、オープンテラスに深々と座り、子指を立てながらすすり飲むような飲み物なのではないだろうかと思う。

そして、彼女たちは会話する。

「本当に美味しいカモミールね。
きっとキレイなお花畑で素敵な夫婦が一生懸命摘んでるんだわ。
ちいさな女の子がお手伝いしたりなんかして、まわりではワンちゃんがかけまわって‥」

しかし、実際は違う。

カモミールとは全く無縁なガンジャ好きアメリカ人と、インド大好きパナマ人が、上半身裸で女の子座りしながら、
「あっついあっつい」
言いながらだらだらと摘んでいるのだ。

その後ろ姿はとてつもなく気持ち悪い。
写真でお見せできないのが残念なぐらい気持ち悪い。

そして、後ろでは日本人2人がこれまただらだらと、畑向こうのテーブルでは、メキシカン2人が、
「ビリビリブー! ビリビリブー!」
と歌いながら、いつものようにトランプゲーム。

こんな中で摘んだカモミールは、一体どんな味がするのだろう?

もしかするとその答えは、犬のみぞ知るのかも知れない。

バター犬に幸アレ!!

まあ、そんな話はどうでもいいとして、明日とうとうこの町に別れを告げる。

結局Campecheの水牛農家とは、タイミングが合わなかった為に断わった。
代わりに、Campecheよりだいぶ西に進んだ、同じメキシコ湾沿いに位置するVeracruzという町の農家で働くことになった。

偶然か必然か、その農家の夫妻が今日から一週間ほどこの町に来ている。
なので明日、Tianguisと呼ばれる
野外市場みたいなとこで会ってからベラクルスへと向かうことになった。
明日ここで出店するみたいだ。

これまた偶然か必然か、いま働いている畑で取れた作物も、毎週土曜日にtianguisにて出店している。

人と人との縁とは、こういうもんなのかもしれない。

シンクロニシティ的な出会い。
きっと次の旅も楽しいものになりそうだ。

アンドレスとサヨナラするのは辛いけど、よくよく考えたらアンドレスは六月にベラクルス来るみたいやし、縁があれば同じ農家で働けるやろう。

パナマ人サウロはカナダに行くみたいやが、パナマに行くことがあればメールくれたら家族に言うとくみたいなことを言ってくれたので、パナマに行けば、サウロの幼き日の思い出に触れることが出来る。

るろうに剣心が好きらしいから、漫画置いてるかもしれへんし。

ファロンは2日前に出ていった。
メキシコシティで働くみたいやが、ミサイルを落としたあとはキチンと流すということを早々に学ぶべきだろう。

そして、新しくきたキャルシーは、とにかく大きい。

そんなこんなでサンクリ最後の夜。
週末だ!


週末といえば、
高木まひことシェキナベイベーズ。
”Rock'n'Rollが呼んでる”
を聴いてテンションをあげよう!

週末こそはビールとビールとビールで~!

そして、酒場へ行こう!
もちろん安酒場!

スーパーで売ってるビールに7ペソ(50円ぐらい)追加するだけで、ツマミがついてくる安酒場。

下手したらツマミ分、店が損してる感まんさいな安酒場。

ここで飯食ったら、確実翌日腹下す安酒場。

最後の夜は、michelada(ビールにライムとかタバスコが入ってるカクテル。バカウマ)で乾杯やぁ!

ビリビリブー!

FANDANGO〜狂った夜のもらい乞食〜

ほろ酔い気分で町へと繰り出した三人。
経済大国出身のわりに金のない阿呆共が、雁首そろえて一体どこへ向かうというのだろうか?

ここはいうなれば観光地。
皆それぞれにわっさわっさと金をばらまく場所であるから、貧乏人には肩身が狭すぎるってもんだ。

5分ほど歩いただろうか、アンドレスが立ち止まり指をさす。

「この店に入ろう!」

彼が指さした店は、”Revolución
”という名のBARだった。

Revolución=革命。

クーバ・リブレを呑んだ後に、革命という名の店を選ぶとは、アンドレスもこれでなかなか粋なはからいをするアメリカ人ではないか。
どうやらまだ、頭がイカれたわけではなさそうや。

ちなみに、Cubaでは町の至る所にRevoluciónと書かれている。

それにしても、彼はここで一体どんな革命を起こそうというのだろうか?

まさか散々食って呑んでした後、仲良く食い逃げしようぜとでもいうのか?

確かに、日米間でさまざまな条約を結んでいるのかもしれないが、仲良しこよしで食い逃げするなんて条約は結んではいないだろう。

食い逃げ革命を起こすような奴とは友達にはなれそうもない。

ごめんや。

だが、ポコチンさらけ出してマリフアナ吸いながら、
「ハル~。ユウキ~。ぶりぶり~」
なんて叫び、笑顔でメキシコのPolicíaに連行される。

そういった革命を起こしてくれるというのであれば、僕らは一生アンドレスと友達をやめないだろう。

国境を超えたベストフレンドになれるハズだ。

席につき麦酒を頼む。
日本語しか話せない日本人と、日本語の話せないアメリカ人が、なんやかんや話をしている。
ジョン万次郎とペリーが会話をしたとして、きっとこんな感じやろう。

アンドレスが席を立った。
きっと便所にて一服しているに違いない。
捕まる準備は万端なのか??

2人で呑んでいると、メキシカン2人に相席をお願いされたので、一緒に呑むことになった。

アンドレスが戻ってきて、五人で話をする。
っても、僕ら2人は蚊帳の外。

隣のテーブルに置いてあるビールピッチャーを、なんとかバレずにパクる方法をひたすら考えるのみだ。

そんな悪だくみを考えていたら、あっちゅー間に三人の酒はなくなった。

僕は悩んだ。
革命を待つより革命を起こした方がいいのではないかと。

いつも世話になっているアンドレスの元に、そっとピッチャーを届ける。
そして彼が喜ぶ。

そんな笑顔革命を起こそうと、財布の中身を確かめたあと、95ペソもするピッチャーをウェイトレスを捕まえ注文した。

そして席に戻った。
するとアンドレスが、何語かわからない言葉を語りかけてきた。

こちとらラムで若干酔っている。
日本語すらわからない状態なのに、外来語で語りかけるなどホントやめて欲しい。

はっきり言って迷惑だ。

しかし、待て。
これは! まさにこれは!
吉報な予感。

メキシカンが酒をおごってくれるということを、彼は伝えようとしている。
そんな感じがヒシヒシと伝わってきた。

僕は、どの国の人間が何語で話そうとも、酒をおごってくれるということに関してだけは、理解出来る自信がある。

なんとなく雰囲気でわかるのだ。

そして、今がおごってもらえるとき!

ということはだ。
先ほど頼んだピッチャーは、いち早く断らなければならない。

でなければ、おごってくれるであろうビールは、雲の彼方へと消えていってしまうからだ。

僕らはダッシュでウェイトレスの元へ向かった。

そして、
無我夢中で注文の取り消しを行った。

ウェイトレスは、今まさに注がれようとしているビールを、間一髪でとめてくれた!

彼女は最高のウェイトレスだ。

僕らは心から謝り、そして感謝し、あの人はガンジャし、席に戻った。

もし、このときの僕らの行動の一部始終を誰かがビデオで捉え、YouTubeとやらでUPしたならば確実に、
”惨め  日本人 ワラ”
”ニッポンの恥さらし”
などのコメントをつけられていただろう。

それほど僕らは必死だった。

アンドレスの笑顔が見たいなどとぬかしていながら、自分たちがタダで酒を呑むことに必死だった。

ええ大人がなんとも恥ずかしい姿をさらしたもんや。

だが、恥や外聞よりも、ビールがタダで呑めるということは、何よりも大事なことなのだ。

‥少なくとも僕らにとっては

メキシコの観光客に酒をおごってもらいノリノリになった三人は、同じくノリノリなメキシカン2人と共に、うさんくさいカリビアンミュージシャン・パンチョ(ファロンの友達or彼氏?)の奏でる音楽に乗って踊る!

演奏が終わり、Revoluciónを後にしたあと、また違う酒場に行くことになった。
もちろんメキシカン2人も一緒だ。
その理由は言わなくともわかるだろう。

僕ら三人は身なりこそキメてるつもりなものの、先進国を代表するもらい乞食。

同情がエサ。
鳴くだけが取り柄の雛鳥のように、親鳥がエサをくれるのを待つばかりかついて回る。

なかなかタチの悪いクソ人間だ。

二軒目につく。
酒を注文!

子供連れと勘違いされ、ガードマンに入店を拒否されたが、しばらく話すうちに仲良くなり、中へと入る。

ここでもLIVEやってるんや~とおもたら、またまたパンチョ登場。

普段は、昼間っから長渕ヘアーの友達と共に、プラプラする姿しか見かけへんが、なかなかよく働く人や。
少し見直した。

これからはパンチョさんと呼ぼう。

ビール片手に、ボブマーリーのような彼の歌声に酔い、酒に抱かれ、狂ったように踊る!
もちろんツイスト!

気がつけばもう2時前。

メキシカンに別れを告げて宿へ帰る。

倒れるようにベッドで寝そべったあと、翌朝アンドレスに言われたことは、
「ハルはロコだね」。

Loco=クレイジー。

彼からしたら、僕は狂った日本人。
そう思われたなら本望だ。
狂ってるなんて最高の褒め言葉だからだ。

しかし、あんたもなかなか狂っているよ。

この町にいるのもあとわずか。

狂った夜にあらわれるという、先進国のもらい乞食たちは、あと何度、人さまからほどこしを受けるのだろう?

それは僕らの気分次第だ。