2012年3月31日土曜日

ここはバンコク カノサンロード

2月11日(土)
タイ出国前々夜。

ラストサタデーナイトに、AMIGOヤスハルとカオサンロードで1発酒でもやらかそかっちゅー話になった。

待ち合わせはもちろん夜。

金はないが時間だけは山ほどあるので、とりあえず近所の公園でのんびり過ごす。
公園遊びも4日目ともなれば、指定席まで出来る始末。
ベンチに腰掛け、旅行者や現地労働者たちを人間観察しながら、飽きたらウロウロ、疲れたら座り、ダレたら眠るを繰り返す。

ちゃおぷらやー川には秘密基地的な家もあれば、網を片手に漁をする奴もいて、まるで水上マーケットのよう。

きっと、タイ3大マーケットではなく4大マーケットというのがホントの答えなのだろう。
でなければ、タリンチャンにいけなかった日本人の生ける魂は浮かばれない。




しかし、よくよく考えたらこの辺りに待ち合わせ場所であるバーガーキングは存在しない。
1~2時間、散々歩き回ったかて、あるのはこんな小さな花ぐらいや。



「待ち合わせ場所ここにかえへん?」
って言ってみたところで、ヤスハルからしたら意味不明やろう。

―バーガーキング―

はてさて、どこでっしゃろかいな? 
と、ない頭をひねり潰して考えてみたところ、そういや昨日タニヤ行きのタクシーの中から見たような記憶が…

今にも消えてしまいそうな記憶を頼りに行ってみると、やっぱりあったバーガーキング!
そして、このバーガーキングに抜けるまでのストリートの人の多さったら、安宿・ホワイト近辺の非じゃないやんかぁ。

ここで2人は気づいた。

この通りが本当のカオサンロードなんやと。
ってことは、俺らがずっとカオサンや思ってた場所はただの路地裏?
ジャップとファックとポップな奴らが、集まって混ざり合って灰になっただけの掃き溜めロード?

なるほど。
これで、同宿の奴らが朝帰りしてくる理由がわかった。
みんなここでワイワイしとるんやがな。


空も暗くなり、バーガー屋の前で奴を待つ。
少し遅れてタクシーでやってきたヤスハル。

とりあえず食って呑んで食って呑んでしてから、ヤスハルおすすめのレゲエバーに向かった。

ざわめくカオサンとは真逆の、閑散とした薄暗い裏通り。

(こんな暗い通りに明るさむき出しのレゲエバーなんてホンマにあるんかいな?)

疑問に思いながら着いていく。

「あった。ここやわ」

OW!
確かに。

バーや。

ボブ・マーリーのポスターも1枚飾ってあるし、店員も汚いロンゲや。

せやけど…   

どっちかゆーたら…

レゲエっちゅーより…

ネイティブでアメリカンなアパッチバーやないのん?? アウッ! アワワワワ~~~~~!

まっ。細かいことは気にしない。とりあえずひさびさにジャックを呑み、(マイヤーズもレッドストライプも無いしね)タイでアメリカンな風に巻かれる。

その後の記憶は残っちゃいない。

後からやってきたヨーロピアンと共に踊ったことしか覚えちゃいない。

ただ、めちゃおもろかった感だけは残ってるね。
だいたいいつもそんな感じやね~~。

翌朝。
ひさびさ呑んだテネシーにパンチを喰らい完全K.O。

な~~んもする気が起きねえや。

また今日も1日のんびりと、ゆる~い1日を過ごそう。

カオサンのようでカオサンでない、ゆるく過ごせるこの通り一帯を、ゆるゆるマイフレンド叶さんの名前を文字り、”カノサンロード”と名づけよう。




2012年3月27日火曜日

イケず終い

2月10日(金)
タイに来て4日目。
毎日毎日、食っちゃ寝呑んでばっかしてるのもカラダに毒やということで、タリンチャン水上マーケットへ出かけることにした。

タイの水上マーケットでは、日常品やら土産やらがたくさん売られているらしい。

そして、タリンチャン水上マーケットは、観光客よりも現地に住むタイ人に人気があるというので、ここへ行くことに。


カオサンからだとラチャダムヌーンを越えて、バスに乗りゃ行けるみたいなので、まずはラチャダムヌーンを探すことにした。

が、正直ラチャダムヌーンが何なのか全くわからない。
とりあえずその辺を歩いているタイ人2人組に聞いてみる。

「ラチャダムヌーン!」

「え?」

「ラチャダムヌーン!」

「え?」

…まったく伝わらない。

するとタイ人こう言った。

「ユー スピーキン イングリッシュ?」

「おっ。 おーいぇーす!」


さすが観光地を歩くタイ人。
英語はお手のもんってか?

しかし、こちとら英語はノーサーベ(解らない)。

それでも中学・高校と6年も授業で習ったのだから、なんとか伝わるだろう。


「アイ ウォンツー ゴー ツー ラチャダムヌーン!」

「はあ?」

やっぱり伝わらない。

一瞬にして英語はやめた。

「ラチャダムヌーン! ラ~ チャ~ ダ~ムヌ~ン!」

「おー。アイドンノー」

「タリンチャン。タリンチャン。
タ~    リン  チャ~ン!」

すると、片方のタイ人が何か気づいたようで、2人で話し合いだした。
そして、
「オッケー」
というと、すぐにタクを拾い運転手に行き先を告げ、送り出してくれた。


「なんとか伝わったなあ。
にしても、ラチャダムヌーンて案外遠いんや?」

「いや、タイ人もメキシコ人同様歩くんが嫌いなんやろ?」

そう、呑気に話しながらタクシーに揺られ出したはいいものの、一向に止まる気配がない。

(は? もしかしたらこのままタリンチャンまで行く気?)

そうなればかなりボラれるであろうことは必須だが、
「金払ってコトが済むならもう何でもええわ」
と、半分投げ槍な気分で運に身を任せた。


結局30分ぐらい走ったやろか、今まで一言も発せず寡黙に運転を続けていた運ちゃんが、
「着いたよ」
とたった一言告げ、僕らを追い出すと早々に立ち去った。

そしてその瞬間僕らはおったまげた。

「あれ? ここって北新地?」


よく見るとそこには、見渡す限りのビル、ビル、ビル。

そして、日本語で書かれた寿司屋やら飯屋やら、スナックやらの看板が立ち並んでいる。

飛び交う日本語に、スーツに身を包んだジャパニーズサラリーマン達のせわしない早歩き。


こらもうどっから見てもタイやなく北新地や。


「あれ?
僕ら確かタイにおるハズ…やねん…けど」


別になんか悪いモン吸ったり打ったり、悪酒に酔って幻覚見てるワケでもないのに。

あれ?
あれれれれれ?

もしかしてあのタクシー、噂のタートル号?

名前こそカメなものの、宇宙最速を誇る銀河海賊コブラさんのラブシップ・タートル号?


タイの暑さと突如あらわれた北新地な光景に頭はパニック。

そのままワケもわからず突っ立てると、通りの向こう端で若いタイ人の姉ちゃんを連れて歩く、中年日本人男性の姿が目に映った。

そして気づいた。
確かにここはタイやと。

ということは、タリンチャンである可能性はある。

あきらかに水上マーケット的な要素は見当たらないが、何が起こるかわからないのが旅であり、タイである(多分)。


わざわざ海外に来てまで、自分から日本人に声をかけるのはあまりすすまないが、仕方なくサラリーマン2人組に声をかける。

「す、す、すいません」

「はい?」

「ここってタリンチャンですよね?」

「え? タリンチャン?
いや、タニヤですよ」

「え?  タニヤ?
全然ちゃうやん!
タ~しかおーてへんやん!!」

思わず見ず知らずのリーマンに突っ込みを入れる。


話を聞くとここタニヤは、日本人ビジネスマンが在住するオフィス街であり、また日本人観光客向けの繁華街でもあるらしく、
「バンコクで日本人がタクシー乗ったら、だいたい此処に連れてこられるよ」
だそうだ。


つまり、ラチャダムヌーンは全く伝わっておらず、タリンチャンの発音の悪さからタニヤと伝わったワケや。


こんなコンクリートジャングル。
いけどもいけども、レディスマーケットはあっても水上マーケットなどないっつ~話。


タイ人のテキトーさにしてやられた2人は結局、電車とバスを乗り継いでカオサンへと帰ってきてしまった。


なんかもう力が抜けた。
僕らは残り短いタイ時間のすべてを、このカオサンに注ぐコトにし、いつものように眠くなるまでベンチに腰掛け怠惰に過ごした。

(部屋におるアリ達は、きっとこの公園からやって来てるんやろなぁ…)
なんてことを思いながら。