2011年9月20日火曜日

トゥトゥヒル語

9月18日(土)
独立記念日のあおりを受けてか、昨日から泊まってる団体客が未だうるさく騒ぎよる。

昨日の昼からやから、丸一日寝ずに騒いでるんちゃうか?

おかげで僕らも寝れてない。
アメリカンヒッピーや、ヨーロピアンヒッピーもなかなかやるが、グアテマランヒッピーもたいがいや。


とりあえずだるいので、声をかけられても返事はしないことにした。

言葉が達者でない分、態度で解らせるしかないからや。

とはいえ集団の力は強い。
今回宿泊してるのは、15人近い団体。

2〜3人ほどのグループなら希望もあるが、さすがに10人を超えると、
「まあ、えっか」的な考えが上回り、よっぽど頭のいい人間たちでない限り、静まることはないやろう。

反抗心からますますうるさくなる可能性すらある。


ここのオヤジからしたら薬買ってくれる上客やろうから、訴えたとしても何の手助けもしてはくれんやろう。

それはもう、オヤジの態度で一目瞭然。
僕らの顔見たら一瞬にして目をそらし、そそくさとどっか行きよる。


まあ、僕らが客を選べるわけやないから仕方ない。

オヤジにも生活があるんやし。
日本人は黙って泣き寝入り。
もしくは、丑の刻参りをするしかない。

丑三つ時になったら、カンペチェの木(染色に使われるグアテマラに生息する木)に釘を打ち込むしかない。
飛び出てきた樹液を浴びて、グアテマラ色に染まるしかない。

グアテマラ人に対抗するには、グアテマラ人になるしかないんやから。


ただ、こんなアホな客達を、オヤジの子供たちはかなり嫌がってるみたい。

そらそやろ。

この宿の子供たちは、基本的にお客に対していい顔をしない。

マリファナやコカイナばっかやって大音量で朝まで騒ぐ、アホな大人たちを軽蔑してるんやろう。

僕らに対しても初めはそうやった。

宿泊してから一週間ぐらいは、挨拶しても無視気味やった。

そりゃ、やって来たんが小汚い格好したモヒカン野郎なんやから、アホな大人たちと一緒にされても仕方ない。

が、実際んとこハッパは吸わない。薬もやらない。

僕の歯痛のせいもあり、たま~に昼から酒を呑むだけで、後は机に向かって勉強してるか、散歩行けば買い物袋片手に帰ってきては、煮物やったりお好み焼きやったり、酢豚やったりカレーライスやったり、グアテマラ人が見たこともないような日本食を作り、ヘタクソなスペイン語で、
「味見する?」
って話かけてきたり、折り紙作って遊んでたりするもんやから、だんだん人畜無害な奴らやっちゅーのを理解してくれたみたいで、少し前からよく話かけてくれるようになってきた。


昨日にいたっては、
「私たち団体客は大嫌い。
うるさいから」
と、同じ宿泊客である僕らに対し、グチをこぼすまでに。


そこで、彼女たちと話してるうちに、娘の1人・ヘイディから、ここサンペドロ・ラ・ラグーナには、スペイン語とは別に”トゥトゥヒル語”っつーのがあるってことを教えてもらった。

実はここに来てすぐ、サンペドロの人らはスペイン語とは何か違う言語を話してるなってのには、2人してうすうす気づいてはいた。

いくらスペイン語初心者やと言っても、半年近くも生活してれば、英語話してるんか、スペイン語話してるんか、他国の言葉話してるんかどうかぐらいは分かる。


メキシコ人と違い、あまり絡んで来てくれないグアテマラ人たちと生活してれば、話すよりも盗み聞くことの方が多いから、なおさらその違いに気づくわけや。


「そっかそっか。トゥトゥヒル語って言うんや」


とは言え、ここの一家もオヤジとお袋がトゥトゥヒルをよく知ってるだけで、娘たちは100知ってるわけではないみたい。

それでもスペイン語とトゥトゥヒル語を半々で話してる気がするし、お手伝いのお姉さんに関しては、ほぼトゥトゥヒルっぽい。


オカンからトゥトゥヒルを、オトンからスペイン語を学ぶ彼女たち。

小さい頃から二ヶ国語を学ぶなんてスゴイなぁと感心する。


そんなトゥトゥヒル語。
スペイン語とは全く似ても似つかない言語である。

例えば、おやすみとかこんばんわの意味で使われる”ブエナスノーチェス”が、トゥトゥヒル語では”ショカッア”。

”アディオス(さよなら)”は、”ナアン”。

”アグア(水)”は、”ヤ”。

”マードレ(母親)”は、”ヌテ”
‥全く違う。

そして、発音もスペイン語や英語というよりは、若干アジアンテイストな気がする。

旅帰りにベトナム寄るつもりで持参した、ベトナム語の本を見ると、なんかこんな感じや。

いっとき一緒に遊んでたベトナム人・チャンの発音にも似てるし。


もしかすると、
ーアジア人とグアテマラ人の祖先は親戚筋なんか?ー
と思ってしまうが、歴史に詳しくない僕が知る由も無いコト。

ただ1つ言えるんは、言葉って面白いなぁってことだけ。

でも、面白いと覚えたいは全く別。

スペイン語もまだまだやのに、トゥトゥヒル語覚えるとか、想像を絶する話。

バイラール(踊る)=ショホホ
バカ(牛)=ワカシ

うーん。
全くちゃうわ。

せやけど、昔々の話やが。
全くちゃう言葉を無理くり教えこませたんやとしたら、スペイン人に限らず、侵略者っちゅーのはどうしょうもない悪人やなあ。

今もしも、日本がロシアに侵略されて、無理くりロシア語の学習を強要されたなら、僕はこのまま日本には帰らずに旅を続けるやろう。

無理くりは嫌やから、好きな国で楽しく勉強したいわ。

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