2012年2月18日土曜日

白人共の溜まり場にて黄色人種はウォッカにて沈没!

タイ初めての朝は、美しい鳥のさえずりや、愛しい恋人のささやきではなく、おっさんのえづく音で目覚めた。

朝もはよからオエオエと、何度も何度もえづく音。

きっと洗面所で歯ブラシ片手に舌をみがいてるんやろう。

あれはなかなか癖になる。

えづくと分かっていてもやめられない舌みがき。

朝からおっさんのハーモニーが聴けるなんて、なかなか爽やかな目覚めや。


部屋を出て宿を探索する。
が、ガイドブック的な物は一切見当たらない。
その代わりにヘタクソな地図が一枚貼ってあった。

携帯で写真を撮り、3日前に買っていたカスカスのパンをつまんだ後、宿を出ることにした。


リビングにいた日本人2人に一言挨拶を告げる。

一切会話はしてないが、一応日本人のよしみ。
あいさつは礼儀ってなもんや。

「じゃあ、行きます。さよなら」

「えっ! もう行くの? 今朝来たんじゃないの?」

「いや、昨日夜遅くにきたんですよ」

「そうなんだ。どこ行くの?」

「えっと…チャオプラヤー川に」

「チャオプラヤー川って、またおおざっぱだね。
すぐそこにもチャオプラヤー走ってるよ。王宮の方?」

「いや、よく分からないんです。
ガイドブック無いし。ただ友達に聞いたら川行ったら?ってなったんで」

「よし。ちょっと待ってて!」


そのオジサンは一緒にいてた若い兄ちゃんと、王宮行きのバスの乗車法について、話し始めた。

するとそこに、また新たなハポネスが現れた。
そして、ことの成り行きを聞いたハポネスはこう言った。

「だったら僕いまからチャイナタウン行くから、途中まで一緒について行ってあげるよ」


ラッキー!

しょうみ助かった。
なんせわからんことだらけやし。

きっと2人だけやったら、上手くはいってなかったやろう。


宿から、アラブ系のモデル達が住みついているという貧民街を抜けバスターミナルへ。

チャイナタウン行きがちょうど発とうとしてたので、急ぎ足で飛び乗った。

バスに揺られる20〜30分ほどの間、彼の話す会話の8割は風俗に関することだった。

少年のように目を輝かせ話す彼を見ると、よっぽど風俗が好きだと見える。

僕が昔、風俗出版社に勤めていたことは一切口には出さなかった。
きっと口に出すと大変なことになると思ったから…

だから終始うなずいてばかりいたのである。

バスを降りてからも、延々風俗の話を続ける彼とお別れを告げ、軽く飯食ってから53番バスに乗ってカオサンへと向かった。

バス代は1人6.5バーツ(約16円)
安い!

そんな安い値段にもかかわらず、バスの料金回収のおばちゃんは、
「ここがカオサンよ」
と、親切にも教えてれたおかげで、無事カオサンに到着した。


宿探しもしなきゃいけないが、とりあえず暑いのでビールを購入。
公園のベンチに腰掛け呑もうとしたが、警察っぽいのに怒られたので、道路マップの立て看板の後ろに隠れながらこそこそ流しこんだ。


ビールが無けりゃこっちのもん。
生ぬるい風を切りながら、堂々と道をあるく。

すると左手に橋を発見!
橋の中央にはゲートがあり、タイ語で何やら書かれている。

$°○×=々^〜

はは~ん。
きっと、
カオサンロードへようこそ!
って書いているに違いない!


橋を渡ると、民家に入り混じり数軒の安宿が建っていた。
しかし、観光地のわりにはかなりさびれている。

それでも、日常生活を送るタイ人に混ざり、白人たちがポツポツ歩いていた。

割合でいえば、フィフティーフィフティーや。

不思議と日本人らしき影は一切見当たらない。

まあ、そんなことはさて置き宿探し。
まず最初に目についたのが韓国人宿。
宿の外で韓国の人がタバコプカプカしていた。

ヤンキーぽい若い奴らの溜まり場と化していたのでパス。

も一つ奥のタイ人のおばちゃんが経営する宿に行く。

シャワー&トイレ共同で、一部屋250バーツ(625円)。

安い!
が、少々高くてもシャワー&トイレは付いてる方がいい。
なぜなら下痢のとき助かるからだ。

しかし、ここにはシャワー付きはないという。

すると、
「シャワー付きの宿紹介したるよ」
と、おばちゃんに連れられ別の宿へ。


たどり着いたのは、安宿「WHITE」。

シャワー&トイレ付きで250バーツ。
部屋も割りかし綺麗やしここに決めた。


しかし、気になるのがこのホワイトという名前。

別に白人が経営しているワケではない。
白人が経営していたならば、せめて名前はホワイトハウスやろう。

オーナー不在時には、隣近所のおばちゃんが勝手に部屋に案内してくれ、ルームキーまで渡してくれるという、ばっちりタイ形式な宿。

やのに、この白人たちが上客になっているゾーンで、宿の名前が白て!
白人泊りにくんの?

あきらかに白人共に喧嘩売ってるとしか思えない。

黒人に向かって、
「おいクロ!」
って言ってるようなもんやろう。

マイクタイソンにやられちまうよ。

と、黄色アジアンボーイは思うのだが、不思議と僕らが泊まった部屋が最後の一部屋だったらしく、宿は満室に。

「僕ら以外の宿泊客は一体何人や?」
という疑問はよそに、とりあえず暑いのでビールを呑むことにした。


とにかくバンコクは暑い!
この暑さから来る脱力感は何とも言えない。

宿を出てすぐの飯屋でビールと飯食って、歩いて五分の近所の公園に腰掛ける。
チャオプラヤー川の泥臭い水で歯を磨くおばちゃんや、支流で魚を捕まえるおじちゃん。

この汚い川の魚を食べてたんや!
と、思うと吐かずにはいられないが、吐くのさえしんどく思える脱力感。

現地人ですら地べたで寝ているというのに、よそもんが何をうろちょろうろちょろ出来るだろうか?
ごうにしいては何とやら。
携帯を持ち上げることすら面倒で、地に置いた携帯電話に耳を当て、寝ながら会話するおばちゃんを見習い、僕らは怠惰に食っちゃ寝呑んで、食っちゃ寝呑んでを繰り返した。


気がつけば夜22時。
腹も減ったし町に繰り出したが、どこもかしこも閉まっている。
観光地とは思えないさびれかただ。

ようやく見つけた麺屋でズルズル麺をすする。

帰りにコンビニに寄ったが、夜はビールの販売は出来ないってことで残念顔で帰る。

帰宿し、昼間その辺の店で買ってあったタイウォッカをあおるが、あまりの不味さと蒸し暑さにやられて一瞬で沈んだ。

よくよく考えたらウォッカなんて酒、暑い国で呑む酒やないんや。



深夜4時すぎ、人の話し声で目が覚めた。
よく聞けば英語や。

ああ、やはりこの宿には僕ら以外には白人しか泊まっていないのだ。


Whiteという名のブラックユーモアでオルガズムに達した白人共は、こんなさびれた観光地の一体どこで夜を明かしていたのだろうか?

どうでもいいから静かにしてくれ。

頭が破裂しそうや。


怠惰に暮らす黄色人種は、白人共の溜まり場にてウォッカにて沈没。

そしてもうすぐ太陽が昇る。

迎え酒はもちろんビール。
腹下し覚悟で氷を入れよう。

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