2011年9月4日日曜日

お前のタクには死んでも乗らねぇ

タクシーと聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?

リュック・ベッソンとやらが監督してる映画『TAXI』か?
それとも、ロバート・デニーロ主演の映画『タクシードライバー』か?
もしくわ、あのイキすぎたサービスがウリのMKタクシーか?

僕の場合タクシーで思い出すことといえば、泥酔しすぎて『京都・磔磔』から大阪までタクで帰って来て、諭吉一匹払わされたことや、
泥酔しすぎて行き先伝えずにタクで眠りこけ、西淀警察まで連れて行かれたことや、
これまた泥酔しすぎてあまりにも起きないので、自宅前に救急車呼ばれたことなど…

とにかくタクシーと聞くと、泥酔と思い浮かべてしまう。

タクの運ちゃんホンマにごめんなさい。


しかし、ここオアハカでは、タクシーと聞くと何人かは、
「8月12日!」
と答えるだろう…。

8月12日(金)
昼1時すぎ、グエンヅラインに唯一あるインターネットの店に行くと、停電のためパソコンが使用不可能だった。

「すぐに電気くるよ~」
と、おばちゃんが言うので、とりあえず暇潰しに町を探索することにした。

すると、探索するまでもなく、近所の広場でタクシードライバーたちが、酒盛りをしているのを発見した。

まずは軽く挨拶をして通りすぎたが、大量に用意されたビールとツマミが目に入ったので引き返し、チャリを停めてベンチに腰掛けた。

近すぎてもやらしいし、遠すぎても難しいので、10メートル行くか行かんかぐらいの距離にあるベンチに腰掛けた。

昼間っから仕事もせず、教会どころかポリ署まで隣接しているこの広場で、このオッサンどもは一体何のための酒盛りをしているのだろうか?

罰あたりもええとこやし、ゴビエルノ(政府)クソくらえで盛り上がってる。

そして、僕らは何を期待しているのだろうか?

「おい! チーノ!」
と、言われるであろうことか?

それとも、
「おい! 一緒に呑もうぜ!」
と、言われるであろうことか?

それはもう確実に後者であり、150%そうなることは確信している。

なんせ俺にはバッカスがついている!

ベンチに腰掛け明るい空の下、くだらない話を五分ほどしてたら、
「お~い!」
と、集団の中の1人が手招きしながら叫び始めた。

はいはいはいはい、よしよしきたきた!

ね?
やっぱり。

きたでしょコレ!
コレよコレ!

タダ麦酒。
かぁ~、たまらんね!

「え? 僕ら?」
なんて、わざとらしく一体何用?
みたいな感じで近づいていく。

すると来た!

「麦酒いるか?」
の一言。

きゃっほーい!
うーれしーいなぁ~!

すかさず笑顔で「はい」と答える。

しかも、2人ともが1番好きなVictoria(ビクトリア)。

ラリホー!

しかも、アガベ(サボテンの種類)から作られる蒸留酒・Mezcalまで提供してくれた。

あ~も~イク~!

この瞬間、頭の中で違う人種同士が性交をカマした!

これを世間一般ではチャンポンといい、僕・THEワールドではファッキンニューイヤーという。

たまに生み出された雑種が、ゲロと言う汚い名前で呼ばれることがあるが、ホンマのところはテロや。

テロ in the 便器。

しかし、それはホンマは夢という説もある。

まれに便器に虹が出る。
股間から雨にじみ出る。
肛門から膿にじみ寄る。
それ見て彼女逃げよる。
一夜を逃した切ない夜。
賢治宮沢銀河鉄道の夜。

 ああ、…星になりたい

まあ、とにかくただ酒呑めればなんでもいい。

でも、タクの運ちゃんと昼から呑むんは初めてや。

そもそも何でタクの運ちゃん達が昼間から仕事もせずに、酒を呑んでんねやろ?
日本ではあり得ないであろう光景。

だが、その謎はすぐに解けた。

「オアハカでは8月12日は、Día del taxi(ディア デル タクシー) ~タクシーの日~なのさ」

そう、今日はオアハカで働くタクの運ちゃん達にとって、とても大切な祝い日らしい。

11時にミサを終わらせたら、神様に感謝ってことで教会前で呑むそうや。

その後、少し働いたら、夜は夜でバカ騒ぎするらしい。

クルマのフロント部にも花飾って、まるで日本の正月みたいや。

そんなめでたい日に偶然出くわした、おめでた野郎ハポネッサ。

タクの運転まったく関係ない2人が、おこぼれで麦酒三本も四本もガバガバ呑む。
ついでにメスカルとツマミも。

何人かがほろ酔い状態で仕事に戻る。

僕らはも少しお酒をもらう。

ポリ署の真ん前で麦酒呑んで、そっから車に乗って仕事に出るタクの運ちゃんも、世界広しといえど、そうそうおらんやろう。

日本もそれぐらいのことやりゃええんや。

酒呑んでも平気で運転出来るぐらい、強いドライバーを育てあげるべきや!

罰金がどうのこうのやない。
すべては自己責任。

2〜30万払って勉強しても事故るやつは事故るし、メキシコみたいに一万払って免許買うだけの簡単システムでも、事故らんやつは事故らん。

そうだろベイべー!
わかってんのかいベイべー!

金さえ払えばノープロブレム的なシステムを作り上げてまうから、責任逃れがまかり通っちまう。

日本の腐った国道を、逃リズム共がビュンビュン走り回る。

怖いぜ。
これはとても怖いぜ。

赤ら顔で運転するこの町のタクの方が、よっぽど怖くないぜ。

でも、やっぱり飲酒運転はよくないぜ!

だから、お前のタクには死んでも乗らねえ~。

8月12日のオアハカタクシーには、死んでも乗らねえ。

ハイにはなりたいが、灰にはなりなくないからさ。

自由が炎上したら、この世にはもうな~んも残らへんで~。

パキュ~ン!






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