8月13日(土)
馬の糞を拾い集めた。
馬の糞を拾い集めるのは、ドラクエ以外では初めてや。
もちろん売るわけでなく、食べるわけでもなく、肥やしに使う為に集めた。
しかし、集めてきたはいいが、土とも、枯れ草や枯れ木とも混ぜへん、水もかけへん、放ったらかしで、ホンマに肥やしになるんかいな??
8月14日(日)
ここに来て初めての日曜日。
今日は仕事なんかどうなんか微妙やなあと思いながらも、一応仕事着で外に出てみた。
するとNuriaが、
「今日は休む? 働く?」
と聞いてきたので、
「休む」
と答えた。
やったぁ!
飲み水が無くなったので、井戸水を汲み上げる手伝いをした後、トルティーヤを買いに行った。
家を出てすぐに、ゆうきのチャリがパンクしてることに気づいたので、ゆうきを帰らせ1人で買いに行った。
初めてのおつかい。
Letras de negroって店までトルティーヤを1kg買いに行く。
だが、ただ単に1kg買うだけではない。
というのも、この町ではトルティーヤ1kg=10.5ペソ。
しかし、彼女から預かったのは10ペソ。
これでは50センターボ足りない。
じゃあ、一体どうすんねん?
つったら、
「1kg=10.5。
でも、私はいつも10しか払わない。
だからハル。一枚二枚減らされてもいいから、これで1kg買ってきてちょうだい」
なかなか難しいことをいうお人や。
スペイン語わからんって、何回ゆーたらわかるねんやろ。
まあ、でもやらなしゃあない。
チャリをこぐ事3分。
Letras de negro なる看板はどこにもなかったが、地元民に聞き、無事に目的のトルティーヤ屋さんに着いた。
「トルティーヤおくれ!」
「何キロ分?」
「1kg!…でも、10しかないねん」
「いいよ」
ちょっちビビッてたが、思ったより簡単に買えた。
ルンルン気分で家に向かってると、向かい側からゆうきちゃんが、チャリを引いてやってきた。
どうやらパンクではなく、空気がないだけやったみたい。
でも、空気入れ貸してと彼女に言ったら、
「お前がパンクさせたんかぁー!!」
と、凄いけんまくで怒鳴られたそうや。
パンクやないてわかったら、落ちついたみたいやが。
こないだはこないだで、ドアが開けっ放しってので、めちゃくちゃ怒られた。
鶏が入ったら部屋が荒らされると。
どうやら物が壊れるうんぬんに関して、彼女は非常に敏感なようや。
あと整理整頓に関しても。
下手したら食べ物の中に、馬糞でも入れられるかなぁと思てたが、なんとか平穏無事に朝食を済ます事が出来た。
機嫌悪いかなぁともおもたが、今日はここに来て一週間祝いってことで、朝からメスカルを呑ませてくれた。
ラッキー!
その後、近所の商店でビールを呑んでたら、地元民からメスカルをご馳走になった。
昼から呑んでる輩やから、たち悪いかなと思ったら、意外と紳士。
乾杯を交わしたあとは、まったくからんでこなかった。
かっこいー!!
時間はだらだらと流れ17時になり、Nuriaと共にとある場所へと向かうことに。
僕らが住んでる町から歩いて5分の隣町・LACHIGOLOーラチゴロー。
この町の外れに、60年前にNuriaの兄ちゃん・Robertoが植えた木がたくさん育った場所がある。
荒れ地の草をかき分け、今では使われていない線路を横切る。
彼女は言う。
「ヨーロッパにしても日本にしても鉄道が盛ん。
それは素晴らしいことだ。
それなのに何故、メキシコ人は線路を無くしたのか?
ロコ(狂ってんの)か?」
ホンマにこっちの人らってば口が悪い。
すぐにロコとかトント(阿呆)とかいう。
まあ、日本も変わらんか…。
線路を横切った先には、数百本の木がそびえたっていた。
60年前というと、1950年代。
まだまだエコなどとは無縁だった時代に、ロベルトはエコに生きるべきやと思い、この地にたくさんの木を植えたそうや。
めちゃくちゃキレイに木が生い茂ったこの地を、彼女は聖地と呼んでいる。
ここには兄ちゃんが生きていると。
だから兄ちゃんと話す間、2人はその辺でチュッチュッしといてと、放ったらかしにされた。
ここに2人で住んでいたのは二年間だけ。
電気も何もない中で、2人っきりで生活してたんやそうや。
きっとその時のことを思い出しながら、ロベルトと話してたんやろう。
その間、僕らは蚊と戦いながら、墓の周りをうろついていた。
ロベルトの墓ではない。
現在この土地の所有者であるイタリア人の、亡き奥さんの墓である。
彼女とロベルトの会話が終わり、インターネットの店を探しながらGUENDULAINーグエンヅラインーへと向かう。
しかし、日曜日ってこともあり、インターネットの店は全て閉まっていた。
ここから先、店はない。
このまままっすぐ帰るだけやなと思っていたら、途中でNuriaのバイクが止まった。
そして、1人の男性を紹介された。
名前はPato(パト)。
98歳になる母親・Maríaと共に暮らしている。
Nuriaを、
「Como Sócrates(コモ ソクラテス)ーソクラテスみたいやー」
と崇める彼に、ビールとこれまたメスカルをご馳走してもらった。
ほんまオアハカ人はメスカルが好きやなあ~。
そして強い!
8月12日もそやったが、今日にしても、メスカルをストレートでガバガバ呑んでいる。
メスカルといえば、まあ簡単にいえばテキーラみたいな物やおもてくれたらいい。
味は全然ちゃうけど、ハードリカーってことに変わりはない。
ウィスキーにしても、ジンにしてもハードリカーやろ。
味はちゃうけど、きっつい酒なんやから、そらまあちびちび呑むわけですわ。
それがオアハケーニョたちときたら、ストレートグラスに入れて二~三口でグイッと呑み干しちゃう。
ご丁寧にも片手には、チェイサー用の麦酒まで用意して。
昼夜お構いなしに呑む。
せやけどあんまり酔ってへん。
うん、強い!
ベラクルスではみんな、コーラかなんかで割ってたのに。
同じメキシコ内でもこうも違うもんなんやぁと、しみじみ思うわけですわ。
ホンマ地方によって、酒も食べ物もさまざまやわ。
ベラクルスっ子が、さとうきび焼酎”caña”なら、オアハカっ子は、アガべ(サボテン)焼酎”メスカル”。
チアパスにポッシュがあれば、他方にはプルケもある。
アメリカ近くではワインまで作ってるし、僕がいつか行きたいと思ってるチワワの方にも、オモロイ酒が潜んでそうや。
ペルー行ってピスコも呑んでみたいし、またベトナム行ってル・カンも呑みたい。
この世界には呑みたい酒がなんぼでもゴロゴロしとる。
しかし、その為にはやはりビザが必要かなぁ。
働きながら旅せんことにゃ、俺らの夢が終わっちまうぜ。
8月15日(月)
今日突然。
トイレットペーパーが新聞紙に変わっていた。
節約の為だろうか?
僕らが一週間そこそこで、2ロール使ってしまったことに対するお仕置きだろうか?
それとも、新しい紙を買うお金が切れたのか?
謎や。
もしかしたら買ってきた方がええんかな?
それとも、しばらくウンコ我慢した方がええんかな?
8月16日(火)
Nuriaからマッサージのお返しにと、お守りを2つもらった。
1つは、握りしめたコブシの形した、幸運を手中に治めるお守り。
そしてもう1つは、夢を叶えるターコイズ。
毎日必ず三食出してくれるから、そのお礼にと二回マッサージをしただけやのに、まさかお守りをくれるとは。
感謝感謝や。
ちなみにオアハカの町では、マッサージ・1時間250ペソ(約1800円)らしい。
僕ら2人で30分30ペソ(約200円)やのに。
いつかオアハカで荒稼ぎしたろか??
相変わらずトイレットペーパーは新聞紙のままやが、天気もいいので散歩した。
Lachigoloを超え、歩くこと1時間。
Tlacochahuayaートラコチャウアヤーという町の、有名っぽい教会に着いた。
が、時間も無かったし、教会内がアンティークな作りとも知らなかったので、スルーして帰って来てしまった。
またいずれ行こうと思う。
メルカド(市場)で飯も食えるらしいから、日曜日がいいやろう。
ビールやりながらが最高や!
そして、家にトイレットペーパーがあればもっと最高や!
8月17日(水)
今日はもう一個の家の掃除をした。
僕らがここに残るなら、住んでいいと言われている家。
Nuriaがカウチサーフィンで出会った日本人カップルと、中国人が1人、もうすぐやってくるらしい。
彼らが来たら、僕らはそこへ引越ししないといけないので、本日掃除することになった。
この家は部屋が2部屋あり、今住んでいる部屋より広い。
レンガ作りで暖かいし、離れにあるのでより自由。
だが、床が土。
改装途中に金が無くなった為に、床が土のままなのだ。
これでは掃除のしようがない。
掃くたび歩くたびにホコリは舞うし、ベッドの上以外では靴も脱げない。
それに、ここにあるシングルベッドで2人が寝るのはなかなかしんどい。
かなり小さいから。
床に一枚ゴザみたいなん敷いてるけど、すぐに土まみれなるし。
ここに僕ら2人と中国人1人の計3人が寝るってのは、なかなかキツイ話や。
それに、見ず知らずの中国人が2〜3日遊びに来てから帰った後、気がついたら部屋に置いてたトランクが、ジャンボ餃子に変わってたってのもよく聞く話。
名前もマギー・チェンって!
何やら怪しい匂いがプンプンや。
下手したらあの人の弟子やろ?
まあ、トランクの皮が餃子の皮に変わっただけなら、軽くなった分、持ち運びが便利やとしても、中身がニンニクと挽き肉になってしまったなら、
…白飯が食べたくなるがな。
でも、ここにはラー油がないから、なかなか食えん話や。
残念。
そんなこと考えてたら、チェンとの生活もなかなか面白そうな気がしてきた。
ならば日本人カップルだけ断ってチェンだけを呼び、僕らは今の部屋のままでいるのが最善策なんちゃう?
何故、後から来た日本人に、僕らの憩いの場を奪われなければならないのかが不思議やもん。
何も知らん日本人カップルが、
「わあっ。素敵な部屋やわぁ。
ベッドも広いし最高!」
なんつって、パンパンやらかし始めた日にゃあ、小便混じりの土団子でも口に詰め込んだろか!
まあ、居候やから文句は言えんが。
一日3時間働くだけで、三食宿付き。
水も電気も使い放題なんやから、文句は言えない。
でも、でもね。
日本人として生まれた僕にとって、床ってほんまに大事やねん。
裸足で歩きたいねん。
靴は家の中では脱ぎたいねん。
床にも座りたいし、寝転びたい。
ゴザの上を靴で歩かんといて欲しいねん。
せっかく掃除した床、平気で土足で上がりこむ人らの気持ち、まったく理解出来ひんねん。
だから、もう、カウチサーフィンで人呼ぶのはやめて欲しいなぁ~。
そうしてくれたら、無くなったトイレットペーパー。
いますぐに僕が買ってくるから。
それも4ロール入りね。
0 件のコメント:
コメントを投稿