2011年12月29日木曜日

マジッすか先輩!?

この小さな町に、僕が一目置いてるヤツがいる。

心の中で”先輩”と呼んでいるヤツがいる。

ヤツはボスん家の二軒隣の家に住んでいる。

ヤツの名はアロンソン!

12歳で既に1回ダブッてしまっている、小学5年生の思春期真っ只中ボーイだ!

僕はいつか彼に問いたいと思っている。
「どんだけ勉強嫌いなんスカ? 先輩?」


高校生でもいっぺんダブればかなり焦るハズ。
しかし、彼は全く微動だにしない。

それどころか、三十路の日本人捕まえて、
「アヘドレス(チェス)やろうぜ、アヘドレス!」
と勉強そっちのけで、マブダチ感覚でチェックメイト決めこもうとしてくる。
が、彼の書くアヘドレスのつづりは”agedres”。ホンマは”ajedrez”。
間違っている。
オマケにルールはちょこちょこ変わる。

そんなだから、チェックメイト決めこむつもりが、チェス初心者の僕から一度もチェック出来ないでいる。

ちなみにチェックメイトはスペイン語で”ハケマテ”だ。
チェックはハケ。

吐けゆーたり、吐くん待てゆーたり、酔っぱらいには少々厳しいゲーム。
出来ればシラフでやりたいもんや。


そんな愛すべきアロンソン先輩が、ある日メキシコの地図を指しながらこう尋ねた、
「ハル。日本はどこ?」

…え?

「日本はメキシコのどの州にあるん?
こんな形の町、メキシコのどこ探してもないよ」


…マジっすか先輩!?
さすがにそれは…

どっからどう見ても僕らメキシコ人ちゃいますやん!

たのんまっせ先輩!


…しかし、これはメキシコの教育制度にも問題があるんやろう。


なんせ小学校の授業時間は毎日4時間だけ。
土日はちゃっかり休み。

確実に足りてないやろう。
のに、週1ペースで先生不在の為に、急遽休校になる。
不在の原因はいつも、
”Quien sabe?ーキエン サーベー”
「さあね?」だ。


授業にしても、ただ黒板に書かれた文字を、ノートに写すだけという簡単な内容。
だから、文字の読み書きがほとんど出来ない。

なんせ教科書が読めない。
宿題はいつも両親が読んで一緒に考える。

そして、ほぼ親が答えを教えて書かせる。
これじゃまったく意味ないんちゃうか?
っつーぐらいのお粗末な内容や。


そのわりには、幼稚園を卒業しないと小学校に進学出来ひんとか、小学一年生と二年生に限っては進級試験があり、合格しないとダブッちゃうなんていう、厳しいルールがある。

さっぱり意味が分からへん。


そんなことよりも、
「3+3は?」
と尋ねられたとき、
「6!」
と、指を使わずに瞬時に答えれるぐらいの力を、小学校二年生のガキンチョに教えるべきや。


あまりにも酷い。
先生がアホすぎるんやろう。

てことで、ときどき僕らが子供らに勉強を教えている。
と同時に学んでいる。

僕が教科書を読む。

すると、言葉を聞いた子供らは意味を理解する。
そして、発音の間違いを指摘して教えてくれる。

子供らが答えを書く。

僕は文字の間違いを指摘する。

僕は発音を覚え、子供らは文字の読み書きを覚える。

なかなか画期的な教育システム。
7歳のガキンチョと30歳のプー太郎が、同じテーブルを囲んで仲良くお勉強。

教えてると言うよりは、教わっている。

ガキンチョに感謝!!

そんなある日。
ションベンちびりそうになるぐらい、ビビる一言を耳にした。

「先生の名前なんての?」

「ん~…。何やったかな?
忘れた!」

えっ?  まじ?

ボスの孫・ゴージョは、5分ぐらい悩んだ末、ようやっと思い出した。


僕は思った。

(この国でなら先生なれるんちゃうかな?)
と。

しかし、
「急に寒なったから行きたくない」

「今日は雨が強いから行きたくない」
と言う理由だけで、歩いて2分のとこにある学校に行くのを嫌がるガキンチョたちを、平気で休ませるメキシコの大人たちに向かって、
「ちゃんと来させんかいアホ!」
と言う自信はない。


何故なら僕らも雨の日は、仕事サボっちゃうから。
この町の人らも、90%はそんな感じ。

雨が降ったらなんとやら~
風が吹いたらなんとやら~


みんな、”南の島のカメハメハ大王”みたいな生活をしているか
ら。

金は無い。
が、みんな自由。

魚が釣れりゃあ、みんなで分け合い。
果物が実れば、みんなで分け合い。
トウモロコシが育てば、みんなで分け合い。

どこの国でも、村生活ってのはこんな感じなんかなぁ~?
なんて思いながら、新たに知った真実。

先輩の弟もダブッてる!?

しかし、先輩の弟(9歳)は、V6の岡田くんにそっくりやから、きっと大丈夫やろう。

そして僕は、小栗旬にそっくりだ。

だから大丈夫だ。

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