5月5日(木曜日)にJoseが、
「Xalapaに女の子に会いに行って来る!」
と、出ていった。
2~3日は帰ってこないらしい。
正直助かった。
なんせ彼のイビキは爆裂にデカイ!
まったく眠らせてくれない。
それに、ブリーフ姿で枕に抱きつきながら眠る40代・男性の姿を見て、
「Oh~! キュート」
などと思える気持ちは持ち合わせてはいないからだ。
てことで、ここのBOSSである、LeónとCarlosに支持を仰ぎ働くことになった。
Leónは12歳の頃からずっと働いている。
今までいろんな仕事をしてきた結果、8年前からここに落ち着いたらしい。
5歳年下の奥さんGloriaと、3人の孫達と共に暮らしている。
めちゃくちゃ優しく面倒見もよく、ウィスキーとウォッカが好きなイカしたボスや。
Carlos(副ボス)は、子供がそのまま大人になったようなおっちゃんである。
いつも冗談ばかり言いながら踊り、果物ちぎってはつまみ食い。
たまにLeonから、
「また甘いもん食べて!」
と、怒られている。
そんな子供のような彼だが、この農場のヒットマンでもある。
畑を荒らす生き物や、命を脅かす蛇などは、彼が容赦なくぶち殺す。
Topoと呼ばれる前歯の長いネズミみたいな奴は、まずチャリの前輪でしばいて弱らせる。
その後、蹴りまくって弱ったところを尻尾つかんで持ち上げ、何度も何度も地面に叩きつけるのだ。
それで終わりかと思いきや、まだまだ序の口。
確実に死んでいるであろうTopoの頭に、数回石を投げつける。
そして、再び蹴りまくる。
なかなかエグい。
蛇にいたっては、スコップで一瞬のうちに首をちょんぎる。
まさに瞬殺!
この2人がここを仕切っているボスや。
そんなボス2人とDavid(無口なメキシコの大学生)と共に、人生初のlichi狩りにと繰り出した。
いい感じに熟れたlichiを一つ一つ丁寧にちぎる。
そして、手に持ったバケツに大胆に投げ入れる。
ちぎる時は丁寧なのに、入れる時はなんとも大胆。
これが原因で、いい感じのlichiの三割程度がNo sirve(役立たず)になる。
せっかく丁寧に前戯したのに、三こすり半でイッてしまうSEXのように、残念な結果に終わってしまうのだ。
そんな感じで、Leónに選別の仕方を教わりながら収穫していると、見知らぬオヤジと老けた若造がやってきた。
「こんにちわ! ハポネス。
Rubenのパパと弟のRogelioだよ」
(そうか、こいつらが呼んどいて未だ旅行から帰ってこないバカップルの生みの親と、似たような精子のカタマリか?)
そう思いながらにこやかに挨拶を交わす。
そして、バカ共に連れられて、お次はLichiのパック詰め作業に入る。
作業中、
「ハポ~ン! メヒコ~!」
と、テンション高く叫びながら、のろまなスピードで詰めるオヤジ。
きっとシャブでも喰ってるんやろう。
そういえば、親子ともども若干瞳孔が開いている気がする。
ハタチの頃に働いていた現場に時折いた、シャブ中のオヤジたちと同じ目をしている。
そんなシャブ中どもは、かるくあしらいながら、1パックに対して680g分のlichiを詰める。
詰め込まれた商品は、カナダの大型スーパーで売られるそうだ。
ここで気になるのが値段。
大阪のスーパーで、ライチが売ってるとこなんて見たことないから、しょうみ気になって仕方がない。
だから、オヤジに聞いてみた。
すると、返ってきた答えは、
「わからない」
だった。
あゝ、この人は阿呆タレなんだ。
そう思っただけで、会話はすぐに終了した。
だが、阿呆は1人だけではなかった。
31歳の弟は、どうやら今回初めて作業に参加したらしく、
「パパ、どれがいいlichiなの?」
「ん? ロヘリオ。これがいいlichiだよ。
1つ食べてごらん」
パクッ。
「まいう~」
バカや。
文句なしに。
そんなバカさをいち早く察していたのか、Davidから聞いて知っていたのか、8日にデートから帰ってきたあと、家族の誰とも会わずに翌日にJoseは出ていった。
そして、まだRubenとLauraは帰ってこない。
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