海外医療保険が切れてからまもなくして、歯痛に襲われた。
それもちょっとやそっとの痛みではなく、夜も眠れないほどの激痛や。
これは歯医者行かんとキツイ。
が、保険がないとナンボ払わされるかわからんから怖い。
どうしようか??
そこで俺は考えた。
(ここは幸いにも田舎町。なんとかかんとか出来るんではなかろうか?と)
「BOSS。ここに歯医者はある?」
「あるよ。なんで?」
「もうめちゃくちゃ歯が痛くて、昨日なんか寝れなかったぐらいやねん」
「それは歯医者行かなあかんなぁ。
検診で25ペソ。抜くなら180ペソやけど、どうする?抜く?」
痛い=抜く。
日本ではなかなか考えられない単純すぎる発想と、歯医者が一律料金なことにちょっぴり驚きながら、もう1つBOSSに尋ねた。
「俺は日本人やから保険証がない。
それでも大丈夫かなあ?」
「No hay problema(問題あちゃこやで~)」
翌日。
グロリアと共に歯医者に行った。
小さい診療所に置かれた、たった1つのあのベッド。
28歳の美人な歯科医が1人で働いていた。
「どこが痛いの?」
「ここ」
あの銀色のやつでポンと叩く。
「日本で最後に歯医者行ったのはいつ?」
「3ヶ月前」
「そっか。なら大丈夫!」
緑色のドロドロした液体で、歯をぐちゅぐちゅし、最後に、
「歯をキレイにしとかな欠けるよ」
と、一言アドバイスをいただき治療は終わった。
時間にすると5分程度。
30分ペースで治療を区切る日本の、なんだかいやらしいやり方の歯科よりは、よっぽど優れているメキシコの歯科医療。
お姉さんに50ペソ紙幣を差し出すと、
「5ペソがないから20でいいや」と、30ペソお釣りが来た。
なんてアバウトなんやろう。
やはり優れている。
グロリアがカバンから保険証を取り出し、歯科医に渡す。
姉ちゃんはそれを見ながら、診断書か何かにカキカキする。
これで、顔・形・性別。
国籍すら違う日本人の治療は、メキシコ人女性が治療したことになったわけだ。
丁寧に痛み止めまでいただくことも出来た。
う~ん、優れすぎている。
せやけど、ホンマ家から医者から飯から、何から何までBOSSの一家に世話になりっぱなしやなあ。
ちなみにメキシコは水道代と電気代は一律料金らしい。
だから、使いまくろうが何しようが問題はないという。
居候の身なもんで、公共料金が気になって聞いてみたのだ。
住んでる人間の数やなく、家の大きさで決まるらしい。
BOSSん家で、電気代が二ヶ月50ペソ(約400円)。
水道代が一ヶ月86(約600円)ペソ。
ガスが210(約1500円)ペソと言っていた。
計 321ペソ。
一見安そうやが、平均日当140ペソのこの町では、3日働かんと支払われへん額。
と考えたなら、どないやろうなぁと思う。
多分、収入の多い町に関しては、公共料金はもっと高いんかも知れん。
メキシコと日本の収入や物価の違いに関して、BOSSとよく話すのだが、
「結局どっこいどっこいやなあ」
という結論になる。
収入多い国は物価も家も高いし、収入の少ない国は物価も家も安い。
まあ、当然っちゃあ当然なんかもなあ。
ただ、収入の多い国に生まれたことで、こうして海の外に出ることが出来るのだから、日本に生まれたことを感謝しなければならない。
BOSSは言う。
「将来、孫たちが日本に行けることはあっても、俺とグロリアは日本に行けることはないよ」。
この言葉を聞くと、何故か心がジンとする。
現在。日本人だけでなく、多くの先進国に住む人間が海外を行き来している。
その目的は様々や。
仕事、勉強、遊び、買い物etc‥。
俺らに関しては、約束の地探しっつーか、夢っつーか、うんにゃらふんにゃらや。
2人に一体何が出来るんやろう?
と、悩むこともある。
ただ、グロリアがモヒートを気に入ってくれたり、BOSSがお好み焼きや唐揚げを上手いと言ってくれたり、子供らが、
「Haru momento mierda(ハル、ちょっと待ってね。うんこ野郎)」
と叫んで、親に怒られたり。
そんな1つ1つの交流みたいなもんが、また何か新しいもんを生むんかも知れんと考えたなら、2人に出来ること。
そして目的は、そういうことなんやろうなあとも思う。
話すこと、伝えることは、とても大事なことなんや。
こないだはBOSSん家で煮魚を作った。
ここに来てから今までに、お好み焼き、唐揚げ、シチュー、煮魚、ポテトサラダ、モヒート、マッサージ、ご飯の炊き方をレクチャーした。
酒やみりんはないが、Salsa de soya(醤油)は売ってるので、なんとか作れるもんや。
今度は焼き鳥のタレや、煮物でも作ろうかなと考えている。
タコ焼きはタコ焼き機がないのでちと難しいが。
グロリアが調味料を使わずに、素材から味を引き出すのが得意なので(もしかしたらメキシコ料理とはそんなもんなんかも)、めちゃくちゃ勉強になる。
自分の知っていることを教えることで、何かが返ってくる。
するとまた、教えれることや出来ることが増える。
なかなか素敵なことではないか。
今BOSSん家で植えてるjengibre(生姜)が育ったら、豚の生姜焼きや生姜入りスープでも教えようか。
ウォッカ売ってるしモスコミュールを作ってみてもいいかな。
おっと、その前に、いいかげん明日のこと考えなきゃ。
どうしたんだ へへいベイベー!
お前までそんなこと言うの!
まあ、いつものようにキメてぶっ飛ばせばいっか。
意外と、こんなこといつまでも長く続くもんや。
なんせ、すべてはALRIGHT!
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