2011年7月21日木曜日

WWOOF•Lechuguillas編 その8 ~よう考えたら、もうWWOOFでも何でもない

農家を追い出されてから、かれこれ二週間が過ぎた。

毎日ボケ~ッと過ごすのも逆に力がいるし、かといって仕事を探そうにもこの小さな町では無理がある。 

マッサージにしてもホンマたまにあるだけやし、二回に一回はタダでやってるから、対して稼ぎもない。 
まあ、飯やら酒やらはご馳走になってるが。 

なんせ世話になってる人ばっかやから、そないに金は貰えんやろう。 

それでも一ヶ月で1000ペソ稼いだ。 

ボスの月給の四分の一。 
カルロスの月給の2.4分の一。 

まともに喋れへん外国人労働者にしては、まずまずの出来やろう。 

しかし、そろそろこの町に別れを告げるべきなんじゃないかと考えている。 

このままここで、VISAが切れるまでの約二ヶ月間、ちょこちょこ農場の手伝いをしながら(アホどもが不在のときに内緒で)、町人のtendón(腱もしくわ、筋、または腱鞘炎)の痛みをマッサージでやわらげるのもいいだろう。 

ボスが都会で暮らす娘や息子に、日本人が労働可能なレストランを聞いてくれたりしてるから、運がよければVISAが貰えるかも知れない。 

そうなれば、ここから2時間ほど離れた都会で働きつつ、月に一度はボスん家に遊びにくることも可能やろうが、なかなか難しい話な気もするし、これ以上頼りすぎるのもよくない。 


せまい部屋でも住んじまえば都さ~ 

なんて唄ってるやつもいるが、ここには、TVにラジオ、ステレオにギターどころか、落ち着ける空気すらない。 

だから、僕の見たビートルズはTVじゃなくて、あの金持ちの家に置いてある、デュークボックスの中や。

とにかく、今の僕らの望みはただ1つ。 

上を向いて寝ることや。 

なんせ天井からのホコリが凄いから。 

「俺ら一体何してんやろなぁ~」 
なんて、言わなくてすむ部屋がいいなぁと、思うわけや。 

このままやと、ええかげんハニーも、常識人を探して結婚しちまうやろう。 

そういえばペペは彼女に、 
「もうええかげんお前とは付き合いきれへんわ。 
このウンコ野郎!」 
と、言われてフラれたと言ってた。 

そらそうや、BARで働いて金が貯まったかおもたら、 
「旅に出る!」 
で、金無くなって帰ってきて働いて、また金が貯まれば旅に出て‥ 

そんなことばっか繰り返して、まともに就職もせずに、 
「29歳学生です。ちょっぴり遅すぎる学生かな?」 
なんて舌出しながら言ってるスペイン人。 

ダメも何もダメダメやろう。 

‥あれ? 
なんかペペに似たような奴、日本にも1人いたような?? 

ほっといてくれよ~。 


まあ、とにかく出ていこうかなと、2人して話してるわけや。 

とりあえずアテは1つある。 

Joséから届いたメールに書いてあった、Nuriaと言う名のパトローナが経営する農場に、ひと月ほど前からコンタクトをとっていたのだ。 

ただ、彼女はイスラム教徒らしく、送られてきたメールを解読すると、 

~ここは魂を休める場所やとかうんたらかんたら‥ 
書いてある。 

面倒くさそやし、かなり宗教臭い。 
それだけが不安や。 

確かイスラムは豚肉が食べれんかったハズ。 
そして、酒もあかんかったんちゃうか? 

カンカンに熱した鉄板の上で豚玉焼きながら、瓶ビールの蓋をシュポンッと空けて、トクトクトクッと冷えたグラスに注いで、口のまわりに泡つけながら、お好みをホフホフッと頬張る。 

舌やけどしそうなったら、ビールで流して‥ 

こんな最高の食の楽しみ方が出来ない宗教は、僕にはちと理解不能や。 

せやけど行くとこないし、もしかしたらめちゃおもろいかもしれんし。 

なんせ蓋ってのは空けてみんと分からんもんやからなぁ。 

美味そうなもんがたんまり入ってるんか? 

それとも腐った苦汁が、おいでおいでと待ってるんか? 

それが知りたくて、日々何かを探してるのか? 

前世で落とした大金が、どっかに落ちとらんかなぁと首を横に振って探してるんか? 

よう分からんが、も少しだけ無職を満喫でもしようか。 

なんせ有職と違い、これから何色にでもなれる可能性を持っている。 

無職を誇りに思っとるよ! 

ただ、部屋のホコリだけは正味勘弁してください。

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